議員日誌

歴史戦と思想戦

 15日のしんぶん赤旗「日刊紙」の「本と話題」で、子どもと教科書全国ネットワークの俵義文さんが「歴史修正主義の『手法』を読み解く」と出して2冊の本を紹介していました。

 その一冊が、山崎雅弘著「歴史戦と思想戦-歴史問題の読み解き方」です。この本は、私がこの夏読んだ1冊です。

 俵さんは、この本について次のように書いています。

 「書店の店頭には『歴史戦』をタイトルに入れた本がたくさん並んでいるが、この言葉を最初に使い始めたのは産経新聞である。2014年4月1日から『歴史戦』というシリーズ記事をスタートさせ、それをまとめて14年10月に『歴史戦』を発刊した。中国・韓国が歴史問題で日本を攻撃するのは、日本の国際的地位をおとしめるもので、『歴史戦』の主敵は、中国・韓国であり、日本はこれに勝利して日本の名誉と誇りを守らなければならない-と主張する。本書は、彼らの言う『日本』とは、日本国憲法下の日本ではなく大日本帝国のことで、『自虐史観』とは『大日本帝国を批判的に捉える歴史認識』だと喝破する。日本人が自虐史観にとらわれているのは、GHQ(連合国軍最高司令部)とコミンテルンの洗脳・宣伝のためだというのが歴史戦の論客たちである。歴史戦の言説は、日中戦争・アジア太平洋戦争中に大日本帝国が行った『思想戦・宣伝戦』と共通し、歴史戦は思想戦の手法や論理を引き継いでいることが詳しく解明されている。」

 「歴史戦と思想戦」で山﨑さんは、「歴史戦」でよく使われるトリックを解き明かしています。

 「日本」と「大日本帝国」と「日本国」という意味の違う言葉がトリックに使われていると山崎さんは次のように指摘しています。

 「中国や韓国の政府や国民が、『大日本帝国』時代の侵略や植民地支配を厳しく批判する態度をとった時、『大日本帝国』を擁護する意図で、これを『中国と韓国が(日本)を不当に攻撃している』と単純化してアピールすればどうなるか。大日本帝国は『日本』という概念の一部なので、嘘をついていることにはなりません。けれども、それを聞いた人は、現在の自国が攻撃されていると感じ、不安や危機感を覚えます。自分が生きている『日本国』と昔の『大日本帝国』は同じ国ではないと認識していなければ、両方とも同じ『日本』だという思考に、それと気付かないまま誘導されます。そして、歴史問題をめぐる議論を『中国対日本』あるいは『韓国対日本』という単純な図式の『戦い』のように捉えて、日本人であれば『日本=大日本帝国』の側に味方するのが当然だという『結論』を示されれば、それに抗うことは難しくなります。なぜなら、日本人なのにそうしない人間がいれば、その者は『日本の利益に反する者=反日あるいは売国奴』ということになるからです。」

 この理論展開に真っ向から抗うのが山﨑雅弘さんの「歴史戦と思想戦」です。

 山崎さん曰く「言葉の銃弾が飛び交う戦場」の最前線からの山崎さんの気迫の文章が続いています。

 この夏、「主戦場」という映画を観ましたが、この映画を観て、この本を読むと、「歴史戦」の実相とそれを乗り越える術が理解できます。

 好むと好まざるとに関わらず私たちは「歴史戦」の最前線に立たされています。

 事実の本質を見抜く目を養うために、「歴史戦と思想戦」は国民必読の書だと私は感じました。

 山崎さんがこの本を書いた勇気に感服しています。

 山崎雅弘さんの「歴史戦と思想戦-歴史問題の読み解き方」を読まれた皆さん、感想をお聞かせ下さい。

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