議員日誌

防衛省のイージス・アショア再調査の問題点

 今朝の山口新聞は、防衛省のイージス・アショアの再調査について次のように報じました。

 「防衛省は、今月中にも業者の選定手続きを開始する予定。ずさんな調査で批判を浴びた反省から『スピードよりも正確性を重視』(同省関係者)し、慎重に進める。再調査では、新屋演習場を含め東北地方の20カ所の実地測定などを行う。むつみ演習場についても、標高データのずれが指摘された周辺の高台を実測する。」

 防衛省が住民説明会のために作成した今年5月「各種調査の結果と防衛省の検討結果について」と題する資料を基に、防衛省の再調査の問題点を指摘したいと思います。

 第一は、西台の標高問題です。防衛省の資料では、69ページです。

 本ブログでも紹介したように、防衛省の資料では、576㍍となっています。

 しかし、昨年8月の防衛省資料では、571㍍と明記していました。

 防衛省はグーグルアースというソフトで標高を計算していましたが、国土地理院のデータは、574㍍となっています。

 防衛省は、西台については実測を行う再調査を行うと今朝の山口新聞は報じています。

 防衛省のむつみ演習場の再調査が西台の標高の実測だけでは極めて不十分です。

 防衛省が再調査しなければならないと私が考える第一の問題は、地下水についてです。

 防衛省の資料では、36ページに関わる点です。

 7月27日に行われた学術シンポの中で、君波山口大学名誉教授の指摘を本ブログでも紹介しましたが再度紹介します。

 「東台の下の地下水を北から南に流しているが、間違いだろう、逆向きの南から北が正解だと思う。」不透水層について「このエリアでボーリング調査がされていないのなら、なぜ、不透水層と言えるのか」

 防衛省の資料の地下水の流れの矢印は「イメージ」とも書いているが、イメージでも、分からないことは書くべきではなく、防衛省は、改めて地下水の調査をやり直す必要があると思います。不透水層の有無についても防衛省は再調査すべきです。

 防衛省は結論として「周辺の溜池には、地下水(演習場内の地中に浸透した雨水)が流れていないことが分かりました。」としていますが、君波先生は、「ボーリングが基盤まで到達していない」と指摘しています。防衛省は、ボーリング再調査を行うべきです。

 防衛省が再調査すべき第二の問題は、電波環境調査についてです。

 防衛省の資料は、7ページです。

 防衛省の資料では、「電波による周辺への影響はないことが分かりました。」と結論づけています。

 しかし、同じページの資料にあるように、レーダーは「中SAMレーダーによる実測値は、電波法令に基づく机上数値を大きく下回りました。」と防衛省が認めている通り、実際に設置される予定のLMSSRのレーダーをもとにした結果ではないのです。

 この点は、週刊新潮に掲載された軍事アナリスト豊田穣士さんの指摘を本ブログで紹介しましたが、再度紹介します。

 豊田さんは、LMSSRが製造中で完成は約5年後だろうと指摘した上で、「今回使用した中SAM用レーダーの探知距離は、一説によると数百キロ。一方、陸上イージス用のレーダーはその約10倍、数千キロ先の目標を探知できるとされている。」レーダー技術に詳しい専門家によれば『陸上イージス用レーダーの出力は、調査で使用した中SAM用レーダーの100倍は強いという。』」と書いています。

 更に、豊田さんは「防衛省は、実際に配備されるレーダーで調査せず、言い換えれば、実際に使用される電波の影響を現地で計測せずに『理論値』と『机上の計算』をもって『LMSSRの電波は安全』である旨、宣言しているのである」と指摘しています。

 防衛省は、中SAMレーダーを基に行った電波環境調査を実測調査とし、「電波による周辺への影響はないことが分かりました。」と結論づけましたが、この調査結果では、到底住民の理解を得ることは出来ません。

 防衛省は、電波環境調査についても再調査すべきです。

 防衛省の陸上自衛隊むつみ演習場での再調査は、西台の標高だけで終わりにさせてはなりません。

 以上指摘したように、地下水や電波に関しても再調査をすべきです。

 私は、来週行われる日本共産党中国ブロック主催の国会交渉に参加する予定です。

 イージス・アショアの問題も取り上げる予定です。防衛省の担当者に再調査項目を増やすよう直接質問していきたいと思います。

 イージス・アショアの問題について、引き続き、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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