議員日誌

日本共産党綱領学習会

 昨日、日本共産党宇部市医療後援会主催で「日本共産党綱領学習会」が行われ、私は、講師として参加しました。

 私がお話した要旨は以下の通りです。

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 今日は、日本共産党の綱領を「働く」ことに視点を当てて、現在、将来、未来の三段階に分けて見ていきたいと思います。

 まず、私たちの「働く」現在を日本共産党の綱領がどう述べているでしょうか。

 日本共産党の綱領パンフレットの16ページ下段にこうあります。

 「大企業・財界の横暴な支配のもと、国民の生活と権利にかかわる多くの分野で、ヨーロッパなどで常識となっているルールがいまだに確立していないことは、日本社会の重大な弱点になっている。労働者は、過労死さえもたらす長時間・過密労働や著しく差別的な不安定雇用に苦しみ、多くの企業で「サービス残業」という違法な搾取方式までが常態化している。雇用保障でも、ヨーロッパのような解雇規制の立法も存在しない。」

 労働基準法第1条には、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすものでなければならない」とあります。

 しかし、日本では、非正規雇用の労働者が4割を超え、劣悪な条件で働いています。資料1は、国税庁による「民間給与実態調査」です。1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1132万2千人で、月収は17万円弱です。

 資料2は、厚生労働省の「毎年勤労統計調査」からのものです。物価上場を反映した実質賃金は、安倍政権が発足した12年を100とした場合、17年では95.9%と4.1%下落。金額にすると、この5年間で年間15万円もへり、実質家計消費も20万円も減少しました。

 今こそ、低賃金ななか、長時間過密労働が強いられている私たちの「働き方」。安倍政権は、「働き方」改革の名で、「働かせ方大改悪」を行おうとしています。

 安倍内閣は、「働き方改革」一括法案に盛り込んだ裁量労働制の拡大はいったん削除するものの、「残業代ゼロ制度」(高度プロフェッショナル制度)はそのまま導入を狙っています。

 資料3は、一般労働者と裁量労働制で働く場合と、高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ)で働く場合の労働時間規制などの適応状況を示した表です。

安倍首相が導入しようとしている「残業代ゼロ」制度は、「高度の専門知識」を持つ労働者に対し労働基準法が定める労働時間規制などを適用除外するものです。対象業務は省令で定めますが、「金融商品開発」「アナリスト(分析)」などがあります。時間規制などの「適用除外」は、財界が「生産性を向上させ、国際競争力の強化につながる」として求めてきたものです。これが適用されると1日8時間・週40時間の上限、6時間超で45分間の休憩、週1日の休日、時間外労働の「36協定」締結、時間外、休日・深夜の割増賃金はすべて除外されてしまいます。深夜・休日の割増賃金などの規制が残る裁量労働制に比べ「異次元の危険性」があります。年104日かつ4週4日以上の休日を義務付けますが、24時間休暇もなく、48時間連続で働かせることも可能です。長時間労働の野放しで過労死を激増させることは必至です。働かせ方改悪は絶対に認められません。

日本共産党の綱領では、私たちの「働く」を「将来」どうしていくと述べているのでしょうか。

日本共産党綱領パンフの36ページを見てください。

「『ルールなき資本主義』の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義国や国際条約などの到達点も踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる。」

資料4は、2016年4月19日に、民進党、日本共産党、生活の党、社民党の野党4党が共同提案した長時間労働規制法案の概要です。

法案では労働協定を結べば青天井となっている労働時間の延長について、上限規制を設けるものです。また、次の勤務時間まで一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を新たに導入するものです。

日本共産党の綱領パンフの将来の政権について39ページにはこう書いています。

「日本共産党と統一戦線の勢力が、国民多数の指示を得て、国会で安定した過半数を占めるならば、統一戦線の政府・民主連合政府をつくることができる。」「統一戦線の発展の過程では、民主改革の内容の主要点のすべてではないが、いくつかの目標では一致し、その一致点にもとづく統一戦線の条件が生まれるという場合も起こりうる。」

日本共産党は、当面する政権構想として、野党連合政権(国民連合政府)を呼びかけています。この政府の一致点は、①安保法制廃止②集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回です。

日本共産党は、市民と野党の本気の共闘を実現し、当面、野党連合政権の実現を展望しています。この政権構想の中で、長時間労働規制法案の共同提出した中身など、野党共同の政策を豊かに発展させたいと思います。

日本共産党パンフレット43ページを見てください。綱領は未来社会について次のように書いています。

「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義変革が、課題となる。」「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。」「生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。」

民主的改革が実現しても、資本主義が変わらなければ、資本家による労働者への搾取は続き、もうけがすべてという利益第一主義が続きます。

2017年の1年間に生み出された富の82%を、世界人口のたった1%の大金持ちが独占し、世界人口の半分にあたる37憶人が手にしたのは、すべての富の1%にみたないといいます。

 資料5は、労働運動総合研究所が発表した2018春闘提言です。賃上げを2万円すると、家計消費が8兆3600億円拡大し、国内生産が15兆800億円増加する。93万人の雇用が増え、税収も1兆3200億円増える。2万円の賃上げに必要な原資は、大企業の内部留保604兆7000億円の2.14%に過ぎません。

 生産手段を個々の資本家の手から社会に移すと、生産の目的が、「利潤第一主義」から「社会と人間の発展」のための生産にきりかえることができます。「生産手段の社会化」によって搾取がなくなり、社会のみんなが生産にあたれば、一人あたりの労働時間は大幅に短くなります。みんなが自由に使える時間が十分に保障されます。これが未来社会の一番の目標です。

・・・

 参加者の方から、「なぜ、日本は、ヨーロッパと比べて、労働者の働く条件が悪いのか」「日本は自己責任論が蔓延している」「森友公文書改ざん問題は今後どうなるのか」など質問が相次ぎ、活発に議論が交わされました。

 引き続き、様々なテーマで学習会の講師を務めていきたいと思います。

 二人でも三人でもお集まりいただければ参加しますのでお声をかけて下さい。

 本ブログトップページの問い合わせから入力いただくと私のメールと直結しています。

 

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