議員日誌

さとにきたらええやん

 大阪市西成区釜ヶ崎。「日雇い労働者の街」と呼ばれてきたこの地で38年にわたり活動を続ける「こどもの里」。「さと」と呼ばれるこの場所では0歳からおおむね20歳までの子どもを、障がいの有無や国籍の区別なく無料で受け入れています。

 この「子どもの里」に長年ボランティアで入り続けてきた重江良樹監督がこの程、映画にしました。

 先日行われた山口県母親大会で上映されました。

 「さとにきたらええやん」の主人公は3人。

 一人は、5歳のマサキ君。発達障害があり、自分で「やりたい!」と思う事に集中すると周りが見えなくなってしまいます。

 シングルマザーのお母さんは、自分の思い通りにならないマサキ君に手をあげてしまうこともあるという。

 私が、マサキ君の場面で印象的だったのは、里で開かれたレジリエンスの中島幸子さんを講師にした学習会の場面です。

 私は、PTAの学習会で中島幸子さんの話しを聞いたことがあり、映画の中で中島さんの存在を確認しました。

 中島さんは、トラウマについてこう話します。

 「私が何したいって思うんじゃなくて、あの人が私に何してほしいのかかなと。私がここで何をしたらええのかなってことが基準になってしまったらわからなくなる。私が何したいのかってことが。」

 マサキ君のお母さんは、涙を流して学習会開場から出ていきます。

 マサキ君のお母さんは、「話聞きたいんだけど。一瞬でやっぱり父親のことが出てきた。」「父親も外ではいい人だったし、家の中ではすごかったけど。」「やっぱトラウマはなくならないっていう。」

 マサキ君のお母さんも、父親からの何等かの「虐待」を受けていたことが伺えます。

 里に支えられながら、自らとたたかいながらマサキ君を育てるお母さんの存在が分かってきます。

 二人目主人公は、中学生のジョウ君。軽度の知的障害があり、いじめなどがもあり、中学校に行けない時期もありました。

 おとうさんは、DVで接見禁止になっています。ジョウ君と二人の弟を必死で育てるお母さん。それを支える「里」の職員。

 自分のイライラを弟への暴力で表すジョウ君へ「暴力は絶対にあかんねん」と繰り返し説得する職員の姿に涙しました。

 ノンフィクションライターの北村年子さんは、映画のパンフレットの中でこう書いています。

 「ジョウの姿に、私が出会ってきたホームレス襲撃事件の加害少年たち、とりわけ、20年前、大阪南の道頓堀で、野宿していた64歳の藤本彰夫さんを、川に落として死なせてしまった青年ゼロの影が重なってくる。」「小学生、中学生の頃に、ゼロにも里の居場所があったなら。たとえそれまで暴力にさらされて生きてきたとしても、根気強く、忍耐強く、愛をもって、それでも暴力はあかんねんと、厳しく、やさしく、導いてくれる、信頼できる大人と、もしも出会えていたなら。道頓堀襲撃事件は起こらず、藤本さんは死なずにすんだはずではないか。ゼロはひと殺しにならずにすんでいたのではないか。そう思えてならなかった。」

 三人目の主人公は、高校生のマユミさん。マユミさんは、小学生の頃から「里」で暮らしてきた。病を抱えたマユミさんのお母さんは生活保護を受けながら暮らしています。

 マユミさんのお母さんへのインタビューは壮絶です。15歳で両親はいない、身寄りはない状況で、マユミさんを妊娠したことで職を失い路頭に迷っていたところで、「こどもの里」に救われたというお母さん。

 マユミさんは、老人ホームへの就職が決まり、高校と同時に「こどもの里」を卒業しました。

 お母さんと一緒に、自転車に大きな荷物を積んで「里」を後にするマユミさんの姿にも涙が止まりません。

 教育学者の汐見稔幸さんは、「生物としてのたくましさを子どもたちに感じましたが、こどもの里がそれを保障する放牧場のような気がして、新しい育ちの哲学が生まれそうに思いました。」と映画のパンフレットで語っています。

 私は、大学生の時に一度、ですから30数年前に一度、釜ヶ崎に行ったことがあります。

 年末か年始かで、三角公園でカラオケ大会が行われていて、私も出場して演歌を歌った記憶があります。

 立ち飲み屋で、おじさんから、建設現場での苦労や、危険な仕事に携わった経験などを聞かせてもらったことも懐かしい記憶です。

 私は、大学でセツルメント活動を行っていたので、釜ヶ崎に対してむしろ郷愁を感じるほどでした。

 「さとにきたらええやん」での子どもの里は確かに釜ヶ崎というレアな地域の子どもたちへの取り組みに違いはありません。

 しかし、汐見先生が言うように「新しい育ちの哲学が生まれそう」だと私も感じます。

 山口や宇部でも釜ヶ崎と同質の生活背景で暮らす子どもを取り巻く家族がいます。

 その家族を支えるワンストップの親子の居場所が必要だと思いました。

 それは、新しい可能性を秘めた場所だとも思いました。

 里のような場所を増やす努力を地域と行政が進めていくことが大切だと思いました。

 私の置かれた場所で、子どもたちの居場所が確保できるよう役割を発揮していきたいと思いました。

 「さとにきたらええやん」の感想の最後に、SHINGO★西成さんの歌のすばらしさについても触れたいと思います。

 流れた3曲と映像の中のライフ風景に感動しました。じっくりとSHINGO★西成さんの曲を聞いていきたと思いました。

 重江監督、すばらしい作品をありがとうございました。次回作に大いに期待しています。

 「さとにきたらええやん」全ての皆さんに観ていただきたい映画です。

 ご覧になった皆さんの感想をお聞かせ下さい。

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