議員日誌

県、中電の補足説明文書開示

 13日、中国新聞は「山口県が中国電力に同県上関町で原発建設計画の公有水面埋め立て免許を許可した経過を巡る中国新聞の情報公開請求に対し、県は12日、中電に求めた7度の補足説明と回答文書を初めてほぼ全面開示した。」と報じました。

 県が中国新聞の情報公開請求に、文書を開示した背景には、現在行われている「上関原発用地埋立禁止住民訴訟」が行われていることがあることは明らかだと思います。

 中国新聞の記事を元に、この間の状況を振り返ってみます。

 山口県では、上関原発計画が進められ、8月3日、中国電力が上関原発を建設するために山口県に申請した公有水面埋立免許の延長で、山口県知事は延長を許可する判断を行いました。
 中国電力が上関原発建設計画で海を埋め立てる免許の延長を巡り、県と中国電力が4年近く費やしたやりとりの全容が中国新聞の情報公開請求でこの程、明らかになりました。
 中国電力が免許を延長したのは、2012年10月5日でした。08年10月に県から交付された免許に基づき、09年10月に埋立工事を始めましたが、福島県発事故もあり、免許の失効が12年10月7日に迫っていました。12年8月に退任した二井元知事は、「埋立の前提となる土地利用計画が不透明。現時点で延長申請があっても認めることはできない」との立場を表明しました。
 しかし、山本前知事が、12年10月23日に、一度目の補足説明を中国電力に求め、山本・村岡知事は可否判断を保留し、4年間のやり取りが行われていました。
 県は中電に、「国のエネルギー政策で、重要電電開発地点に指定された上関原発の位置づけが何ら変わることなく存続し、今後変わる見込みがないことを説明しなさい」と質問していました。今年の6月22日の中電の7度目の回答で、中電は、重要電源地点について「引き続き有効で、解除は考えていない」とする国の回答を示しました。この事を根拠に村岡知事は「地点指定は08年の免許の根拠だ。土地需要があるという要件を満たしており、法的には許可せざるを得ない」として、8月3日、19年7月6日までの免許延長を許可したのです。
 国が上関原発を重要電電開発地点に指定したのは05年。この3年10か月間、可否判断を保留して、ようやく出てきた根拠が、上関原発が重要電源開発地点に指定されているという事実だということは、私が以前にブログで書いた通り、論拠が脆弱としかいいようがありません。

 許可の根拠を05年に確定した電源開発地点にしたということは、中国電力が仮に今後、更なる延長申請を出した場合も、県は必ず許可するとの論拠を中国電力に与えてしまったという点でも重大です。

 さて、中国新聞の記事により中国電力が重要電電開発地点についての説明をどう変えたかが分かります。

 6度目の補足説明までは、中国電力は「重要電源開発地点の見直しについて『現時点では想定していない』との国の見解を得た。」と県に回答していました。7度目の補足説明で、中国電力は「『重要電源開発地点について、引き続き有効であり、事情に変化がない限り、解除することは考えていない』との国の回答を得た。」と回答し、許可が出たわけです。

 この辺りについて、中国新聞の「解説」では、「焦点は『重要電源開発地点に指定された上関原発の位置付け』絞られ、その回答に3年以上を費やした。専門家は『電話で確認できる内容』と指摘した。」と書いています。

 中国新聞の「識者談話」では、本田博利元愛媛大学教授が「中国電力が免許の延長申請をしてから山口県が許可するまで4年近く。なぜこんなに時間がかかったのか。5~7度目の県の質問と回答はほぼ同じ内容で、県が可否判断を先延ばししたことは明らか。県民の利益を損ねている。」「判断の決め手とされている国の文書は、資源エネルギー庁の担当課長名の書面1枚だけだった。県は許可に至るまでの経過を県民に分かりやすく説明すべきだ。」と述べています。

 3年10カ月の間の文書が開示されたことで可否判断が安易に引き延ばされたことが鮮明になったようです。

 私の手元には、国交省水管理・国土保全局水政課の職員と県の土木建築部の職員が、平成26年5月12日と平成27年6月18日に、国土交通省で「公有水面埋立免許事務に関する状況説明」を行ったとする復命書があります。

 この3年10ケ月の間に、これらの会議に参加するために費用など多く税金が投入されています。

 これらも含めて、この3年10カ月は県民にとって何だったのかしっかり総括をする必要があります。

 中国新聞の識者談話に館立山紘毅山大教授は「黒塗り(非開示)にしなければならない内容とはいえない。山口県は、なぜいらぬ憶測を招くような対応をしてきたのか疑問が残る。県情報公開条例の第1条には『県民の知り権利を尊重し』とある。原則開示の発想が弱かったと言わざるを得ない。」と述べています。

 私は過去、この問題で、情報公開を請求し、黒塗りの文書を受け取った一人です。

 県はなぜ文書を黒塗りにしたのか、なぜ、県民の知る権利を守ろうとしなかったのか、今回の全面開示を契機に、県民にしっかり説明する責任があると思います。

 県が、中電の補足説明の文書を開示しました。皆さんはこの問題をどのようにお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。

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