議員日誌

映画「やさしい本泥棒」

 尊敬する大先輩からブライアン・パーシーヴァル監督の映画「やさしい本泥棒」を紹介され、観ました。

 この映画は、2013年にアメリカで制作され、日本でも上映の予定でしたが中止となり、今月からソフト販売が始まったものです。

 ソフトレンタルもされていますので多くの方々に観ていただきたい映画です。

 本作品は、第二次世界大戦前夜のナチスドイツの蛮行を描いた映画です。

 ナチスドイツを描いた作品としては、スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」、ダルドリー監督の「愛を読むひと」などを過去観てきました。

 この作品も、これらの作品に匹敵するナチスドイツの蛮行を鋭く突いた名作です。

 主人公のリーゼルの両親は、共産党員。軍部の赤狩りからの逃亡中です。

 リーゼルは、里親の元で暮らしを始めます。

 私は、反ナチ運動組織の指導者マルティン・ニーメラーの詩を思い出しました。

 「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった

  私は共産主義者ではなかったから

  社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった

  私は社会民主主義者ではなかったから

  彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかっら

  私は労働組合員ではなかったから

  そして、彼らが私を攻撃したとき

  私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった」

  正に、ナチスが、リーゼルの両親を攻撃しはじめてから、彼らの蛮行はエスカレートし始めます。

  この映画で描かれているように、ドイツはナチスの統治下に置かれ、ついに読書までも禁止されてしまうのです。

  ナチスによる反ユダヤ主義による暴動で数多くの本が広場で焼かれた後、リーゼルは一冊の本を盗み出すのです。

  昨年公開された山田洋次監督の「小さいおうち」では、戦中から女中奉公していたタキが戦後になって当時を回想するシーンがあります。

  タキがにぎやかで楽しい都会生活をタキが振り返ったのを、大学生の健史がいぶかり、こう話ます。

  「間違っているよ。昭和十一年の日本人がそんなに浮き浮きしているわけないよ。2.22事件の年だろう?だめだよ、過去を美化しちゃ」

   タキは、「吹いていたわよ、いい天気だった。毎日楽しかった」と言い返します。

  AKB総選挙やなでしこのワールドカップでの行方が気になる平和な日本の国会では、戦争法案が審議されている。

  戦争は日常生活の延長線上でやってくるのでしょう。

  私は、この映画でもその事を感じました。

  ドイツの青年同士がこの映画の中でこのような趣旨の話しています。

  「戦争は敵をやっつけるために行うのだと思っていたが、私へと向かってきているのだ」

  私たちは、好きなテレビや映画や本や漫画を好きなだけ見ることができます。

  ドイツでも日本でもそうだったように、政府の思い通りの真っ黒な本しか読めない時代や過去にはあった。

  この事を私たちは忘れてはなりません。

  哲学者の梅原毅さんは、2013年5月に東京新聞で「おそらくぼけ老人の錯覚であろうが、自信ありげに颯爽と政治を執る人気の高い安倍首相の姿が、あつての近衛首相の姿と重なって見えるのである」と述べ得ています。

  梅原さんの警世の句である発言を正夢にしてはなりません。

  この映画を観て、今を戦前にさせてはならないとの想い強くしました。

  この作品は、多くの方に、特に、10代の皆さんに観ていただきたい作品です。 

  皆さんの目の前の平和と自由は、過去の苦難の産物なのだ。

  若い皆さんと一緒に、平和と自由を守る努力を行いたいと、この映画を観て感じました。

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