本日、山口市のJA山口中央ホールで、県革新懇主催の「シンポジウム やまぐちでTPPを考える―危機を乗りこえるために何が必要か―」が行われ、250名の参加者が県内各地から集まりました。
最初に、下関市立大学の関野准教授が、「TPP賛成論の3つのうそ」と題して基調報告を行いました。
TPP賛成論の3つのうそを語る関野准教授
関野准教授は、第一のうそとして「日本農業は過保護はうそ」と語りました。
2002年米国における農業総生産額に占める農業予算の割合は、44.2%で、農業予算に占める価格・所得補償の割合は、70.6%となっています。
2005年EUにおける農業総生産額に占める農業予算の割合は、77.9%で、農業予算に占める価格・所得補償の割合は、34.8%となっています。
2009年日本における農業総生産額に占める農業予算の割合は、34.6%で、農業予算に占める価格・所得補償の割合は、18.3%となっています。
関野准教授は、「TPP賛成論者は、保護しても衰退する農業。自由化して攻めの農業にというが、保護してこなかったからこそ衰退している。」と語りました。
関野准教授は、第二のうそとして「アジアの需要を取り込むはうそ」と語りました。
経済産業省は、TPP不参加による日本経済の損失について中国が、GDP換算で-6.1兆円、雇用者で-49.1万人と試算しています。
しかし、韓国も中国もインドもTPPには不参加です。
関野准教授は、「TPP不参加で大損失は本当か」と語りました。
関野准教授は、第三のうそとして「消費者利益もうそ」と語りました。
メキシコでは、NAFTA加盟後トウモロコシの価格が2.75倍に上昇しました。
関野准教授は、「アメリカの輸出戦略は、最初輸出補助金、農家への財政補助を使い格安でダンピング輸出を行うもの。その後相手国農業が衰退したら高い国際価格を押し付ける」と語りました。
シンポジウムでは、まず、JA山口中央会中嶋農業・地域振興本部長が、「TPP参加に反対する署名は、県内でも24万筆以上が集まった。TPP参加によって山口県農業の生産量は半減する。早くもアメリカから30ヶ月以上の牛を輸出させろとの圧力が強まっている。運動を再構築してTPPに参加しない世論を高めたい。」と語りました。
山田県漁協参事は、「山口県の漁業は、正組合員の減少率が全国第3位、高齢化率が全国第2位となっている。現在平均4%程度となっている関税率が撤廃されると、山口県の漁業は、限界を超える状況となる。」と語りました。
上野宇部協立病院副院長は、「日本の医療は、皆保険制度と診療報酬制度と株式会社の参入を認めないなどの特性がある。TPPに参加すると国民医療の崩壊につながる。」と語りました。
その後、フロアからの質問や意見が出されました。
関野准教授は、最後に、「野田首相が交渉参加を表明したが展望はある。まず、日米の事前協議の中で、不参加に追い込める。次に、アメリカ議会での議論で、日本の不参加を実現する。そして、国会で、TPP参加を批准させない取組みを行うことが必要。」と語りました。
野田首相がTPP参加を表明した直後の学習会でしたので、熱気に満ちたシンポジウムとなりました。
活発に議論されたTPPを考えるシンポジウム
関野准教授が最後に言われたとおり、これからが大きな山場です。
TPP参加に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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