議員日誌

給与条例の反対討論行う

 本日、給与カット条例の委員長報告、討論、採決が行われました。

 私は、日本共産党県議団を代表して反対討論を行いました。

 少し長いですが、全文を掲載します。

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 日本共産党県議団を代表して、議案3件について討論を行います。
 まず、議案に対する態度ですが、議案11号及び12号に反対し、13号には賛成いたします。
議案第11号及び12号は、特別給(期末手当等)の支給割合を0.2ヶ月引き下げるのが主な内容です。県は、人事委員会勧告通りの給与改定を行った訳ですが、私は、そもそもの、人事委員会の意義と役割からして、今回の勧告は妥当だったのかをまず問いたいと思います。
 人事委員会勧告の中に、自らの意義と役割を次のように明記しています。
 人事委員会の給与勧告制度は、労働基本権の制約に対する代償措置として、職員に対して適正な給与を確保することを目的とし、地方公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、職員の給与水準と民間及び国家公務員等の給与水準との均衡を図るものとして県民の理解と支持を得ている。
 私は、この勧告内容に理解も支持も出来ません。
 まず、民間給与と職員給与の較差(公民較差)のかつてない拡大です。昨年から行われている県独自の給与カットの結果、本年4月時点で民間給与が職員給与より12、943円高くなっています。それに対して、今回の勧告による行政職の月例給のアップは、638円ですので、依然として12、305円の公民較差が存在します。
 また、昨年4月時点で国家公務員の給与を100としたときの県職員のラスパイレス指数は97.3であり、過去5年で最低となっていることも明らかになりました。
 今回の人事委員会の勧告は、「民間及び国家公務員等の給与水準との均衡を図るもの」となっていません。私は、独自カットも含め県職員の給与水準は、民間との格差が増し、国家公務員との格差も拡大しており、適正な給与水準を示す勧告の主旨からも県人事委員会は、職員給与をもっと引き上げる勧告を行うべきだったことを指摘したいと思います。
 次に、知事にも指摘しておきます。人事委員会が勧告でも指摘していますが、適正な給与水準を保障することは、「人材の確保や労使関係の安定などを通じて行政運営の安定に寄与する」ものです。
 私は、昨年度から取り組まれ3年継続とされている職員給与の独自カットについて、民間と職員給与の格差が拡大する中、来年度の独自カットは中止すべきだと考えます。せめて、これ以上の独自カットの延長は慎むべきであることを指摘したいと思います。
 次に、人件費削減と経済の関係について指摘します。今回の給与改定と独自カットを合計した人件費の削減額は約51億円であります。昨年度が、73億円でしたので、2年間で124億円の人件費が削減されることになります。
 県内GDPに占める政府サービス生産者の割合は10.4%です。市町ごとにみると周防大島町が25.2%など、農村部ほど高い水準です。また、雇用者報酬に占める政府サービス雇用者報酬は、15.8%であり、県人事委員会勧告が市町職員給与改定に与える影響も含めて、人件費削減が地域経済に悪影響を及ぼすことは顕著であることを指摘しておきます。
 10月26日付けのエコノミストに注目すべき論文が掲載されました。新日鉄技術情報センターチーフエコノミストの北井義久さんの論文です。彼の結論は、「経済成長を確実にすることが必要。そのためには、賃金を上げて個人消費を増やさなければならない」です。
 「まず、実行すべきは、『賃上げターゲット』政策だ。政府が『今後2年間で名目賃金上昇を2%上げるようにさまざまな政策を展開します』と言えばいい。」「5兆円の賃上げは、そのほとんどが国内需要の拡大につながる。消費市場の活性化なしに、新産業がスムーズに立ち上がることは難しい」
 「法人企業統計によれば、資本金10億円以上の大企業の1社当たり経常利益は、00年度を100とすると07年度には164に増えており、1社当たり配当は293、一人当たり役員給与は126にそれぞれ増えて いるが、一人当たり従業員給与は98にとどまっている。日本企業はそれなりに利益を増やしているが、その成果は株主と役員にだけ配分され、従業員に果実は行き渡っていない」
 「デフレも、格差拡大も、消費低迷も、円高も、財政赤字拡大もすべての問題の原因は、賃金が上がらないことにある。健全な日本経済を再び取り戻すために、中期的な経済目標としてゆるやかな賃上げを中心に据える必要がある」
 私は、公務員給与が下がれば民間給与が下がる。賃金の魔のスパイラルから脱却する必要があることを前から訴えてきました。この論旨からも、日本経済の復調のためにも、職員給与の引き下げは慎むべきであることを指摘しておきます。
 次に、賛成する議案13号に含まれる県議会議員の報酬等に関する条例の一部改正条例について、意見を述べます。
 議員は、県民の多様な意見をくみ取り、県の行財政運営をチェックする役割を持っており、多様な人材の議会参画を確保するには、活動を支える一定程度の報酬の保障が必要です。
 しかしながら、県内の経済・雇用情勢も冷え込んだまま、改善の兆しはみえず、職員給与のカットも継続されているところであり、議員報酬の引き下げにかかる本条例には賛成します。
 最後に、給与改定及び独自カットにより生じる財源の使途についてです。県職員がまさに身を削って生まれた51億円は、将来を担う子どもたちの福祉や雇用の安定のために使うべきであることを指摘しておきます。
 以上を述べて討論を終わります。
・・・

 採決の結果、日本共産党県議団以外全ての会派の賛成多数によって一般職員の給与をカットする条例2件は可決されました。特別職等の給与カット条例は全会一致で可決されました。

 また、本日の会議で、「北朝鮮の韓国・大延坪島砲撃に関する決議」が全会一致で採択されました。

 給与問題等での皆さんのご意見をお聞かせください。

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