議員日誌

「消防の広域化」に県市長会が異論

 今朝の朝日新聞に、「消防統合計画に県市長会が異論」という記事が掲載されていました。新聞によると、26日、下関市内で県市長会の定例会議が開かれ、県内13消防本部を4本部に統合する県の計画について、「新たな財政負担が生じ、消防力が強化される見通しはない」として統合実施前に、各市町と十分な協議を求める議案を全会一致で可決したとされています。

 私は、昨年の6月県議会で、消防の広域化の問題を取り上げました。この時に三好総務部長は消防広域化計画策定の基本認識について、「消防署の統廃合や消防職員の削減を行わないことを基本に、消防の広域化を推進し、消防力の強化を図ることにより、県民の生命と財産を守ることが重要であると認識している。」と答えました。

 しかし、県内の市長には、「消防の広域化によって消防力が強化される」とは伝わらなかったようです。私は、消防の広域化の中で、益田市で、分遣所が統廃合された例を挙げて、絶対に山口県で、消防力を低下させてはならないと再質問で釘を刺しました。

 前衛8月号には、消防・防災専門家の小竹三郎さんが、「消防の広域化で消防力は強化されるのか」という論文を書かれています。この中に、広域化を実施した愛知県の例が出ています。愛知県の衣浦東部消防局は、広域化前に412人だった消防職員が402人に減員しています。また、合併後の一宮市では、300人の警防隊員が287名に減員されています。小竹氏は、消防本部の規模が大きくなったことにより本部機能を強化しなければならないことが原因だと説明します。

 実際に広域化を行った自治体で、消防力が低下している事例が次々に明らかになっている中、市長会が「消防力が強化される見通しはない」と結論づけるのは当然です。

 私は、昨年の6月県議会で、消防組織法の改正時に、「市町村の自主性を損なわないようにすること」との付帯決議がなされていることを指摘しました。三好部長は、「今後、市町の意見を十分に踏まえて、検討をすすめることとしている」と答えました。

 市町の意見を尊重すると言うなら、私は、市長会の議決を尊重して、県の消防広域化推進計画を白紙に戻すべきだと考えます。そして、国が目指すタイムテーブルに拘らず、再度、市町の意見を集約する作業からやり直すべきだと考えます。

 市長会の意見を無視して、今年度中に県の組み合わせ通りに協議会を設置するなどを強行すれば、知事の「市町とともに歩む県政」も地に落ちることになります。

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