議員日誌

萩市のブックレット盗作問題

 本日の毎日新聞の山口版に萩市が出資して発行したブックレット「川柳中興の祖 井上剣花坊」に盗作の疑いがあるとの報道がありました。

 これは、山口民報のスクープで、山本晴彦編集長の調査で明らかになったものです。私も川柳界の末席にいるものとして無視することは出来ません。山本編集長に資料を見せてもらいました。坂本幸四郎著「井上剣花坊・鶴彬―川柳革新の旗手たち」の43ページ、第二章柳樽寺派の成立 1略歴の文章と、萩ブックレット川柳中興の祖井上剣花坊の8ページ剣花坊その幼年期~青年期の冒頭の文書は、一言一句同じでした。毎日新聞の調べでは、全9節のうち6節分が坂本さんの著作と一言一句ほぼ同じだっと報道されています。

 坂本幸四郎さんは、鶴彬を代表とするプロレタリア文学運動の影響を受けた川柳作家の評論を数多く発表された作家です。我が家にも「雪と炎のうた―田中五呂八と鶴彬」という松本さんの本があります。坂本さんは、99年に亡くなられています。

 今日の、NHKラジオでも、この話題が報道され、野村市長が、坂本さんの遺族に謝罪したとのことでした。今後は、このブックレットそのものをどうするのかが焦点になるでしょう。未だにこのブックレットは県内の書店で販売されているようです。萩市も松本さんの遺族に謝罪したということは、盗作の実態を検証したのでしょうから、ブックレットを回収し、市民に適切な説明をすべきです。その上で、新たな井上剣花坊を顕彰する冊子を萩市で発行するのかどうか、市民と協議すべきだと思います。

 このブックレットが、井上剣花坊と坂本幸四郎さんの仕事を若干でも貶める結果になったことは残念です。

 井上剣花坊句集に、剣花坊が、著した「川柳を作る人に」という内容がそのまま収録されています。その中に、剣花坊が提唱する「新川柳」の代表句が列記されています。その中に、このような句がありました。

 長生きをした鈴虫の餌に困り 紅太郎

 「川柳を作る人に」は、剣花坊が44歳の時、大正二年に著された本です。彼は、「川柳を作る人に」の中で、川柳の歴史を振り返り「川柳に限り民衆の感情を各自々々に表現する芸術として存在する」として「貴族化せぬように注意しなけらばならない」と述べています。彼は、時代を見据え、時代に迎合せず、川柳を民衆芸術に高めようと努力したのです。今こそ剣花坊の努力を振り返り、彼が目指したことを学び、彼らが通った歴史を繰り返してはならないことを戒めなければならないと思います。

 先ほど指摘した句などは、後期高齢者医療制度を導入した今の国を思惑の本質を衝いた句として読みました。100年以上前の指摘が今も生きるとは、この川柳の大衆芸術としての力のたまものでしょうが、歴史を繰り返すなという警鐘と私は受け止めました。

 温故知新 川柳界の末席にいるものとして井上剣花坊や鶴彬を少しづつ勉強したいとの思いも新たにしました。

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