樋口有介著「ピース」を読みました。
バラバラ殺人事件を追う老刑事。
犯人の犯罪動機の背景に御巣鷹山に墜落した航空機事故がありました。
これ以上書くと、ミステリーの種明かしになりますので、結末は、本書を手に取ってお確かめ下さい。
この小説を読んで、私が、大学1年の時に遭遇した「犀川スキーバス転落事故」の事を思い出しました。
私が大学1年の冬、体育の野外授業がり、3台のバスで、長野県のスキー場を目指していました。
私は、2台目のバス。3台目のバスが極寒の川に転落し、25名の教員や生徒が亡くなりました。
事故の当日、残った私たちは、自宅に生存の電話をし、転落したバスからの生存者のための衣服を提供するなどしていました。
その日の夜は、事故が起こった近くの山寺で、仮通夜が営まれました。
大きな事故でしたので、山寺への参道は、報道機関によのフラッシュの嵐でまるで昼間のようでした。
お堂の中では、私たち生存者や駆けつけた遺族などが肩を落としていました。
その中で、僧侶の読経が続きます。
その時、一台のカメラのレンズが、お堂の障子を破って、差し込まれました。
遺族の誰かが、そのカメラの方に向って「お前らそれでも人間か」と叫びました。
その時の光景が、昨日のように思い出されます。
御巣鷹山の事故について扱った作品では、横山秀夫著「クライマーズ・ハイ」が有名です。
事故は、関係者の心に様々な影を落とします。私もその一人だということをこの小説を読んで思い知らされました。
樋口有介さんの作品は、「ピース」が初めてでしたが、他の作品も読んでみたくて、今、文庫最新刊の「楽園」を読んでいます。
この作品の舞台は、南太平洋の島国。どんなドラマが待っているのでしょうか。楽しみです。
樋口ファンの皆さん。お薦めの作品をご紹介下さい。
No comments yet.
コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。
メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。