ブログ

東京新聞が「長生炭鉱の遺骨」と題する社説を掲載

 2日、東京新聞は社説で、長生炭鉱の遺骨について次のように報じました。
 「戦時中の落盤による水没事故で長生半島出身者ら計183人が亡くなった山口県宇部市の海底炭鉱『長生炭鉱』跡から、民間の調査により遺骨が発見された。国策が絡む事故である。政府はこれまでの消極姿勢を転換し、戦後処理の一環として遺骨の鑑定や調査、収拾に取り組むべきだ。長生炭鉱は浅瀬の危険な炭鉱で知られ、採掘には朝鮮半島から動員された労働者らが多数投入されていた。1942年の事故では朝鮮半島出身者136人、日本人47人が死亡。日米開戦の直後、国の石炭増産政策による無理な操業が事故原因だったとされる。事故翌日には坑口がふさがれ、情報も統制されたため、戦後も広く知られることはなかった。市民団体『長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の前身は91年に発足。韓国側で結成された遺族会と追悼行事を営み、日本政府にも調査を要望したが、現場の危険性などを理由に応じてこなかった。このため市民団体はクラウドファンディングで資金を募り、日韓の潜水士の強力も得て潜水調査を行った経緯がある。政府の消極姿勢の背景には民間の戦争犠牲者への冷淡さがある。恩給などの対象も元軍人、軍属とその遺族らに限られ、空襲被災者など民間人は除外されてきた。2016年施行の戦没者遺骨収集推進法は遺骨収集を政府の責務と定めているものの、民間の事故犠牲者は対象外としている。05年の日韓合意には朝鮮半島からの民間徴用者の遺骨返還が含まれているが、実際には寺院などに保管されている遺骨が対象だ。とはいえ、事故現場で実際に遺骨が見つかった以上、政府が放置することは人道上許されない。市民団体や韓国政府は一部犠牲者遺族のDNAデータを有しており、日本政府が遺骨のDNA鑑定で身元を特定するのは当然だ。調査や収容に海上保安庁や海上自衛隊の技術を駆使してはどうか。石破茂首相は国会で市民団体の活動を『尊い』と述べた。今年は日韓国交正常化60年に当たる。戦没者に準じる犠牲者らの遺骨収拾は国の責務である。」
 韓国の李在明大統領が8月23日来日し、石破茂総理と日韓首脳会談を行いました。その後、発表された共同プレスリリースに「石破総理は、1998年の『21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ共同声明』を含む歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる旨述べた」とあります。
 24日、李在明大統領は、日韓議員連盟と会談しました。その中で、日本共産党の志位和夫議長は「戦後80年にあたって、日韓両国の友好関係をさらに発展させていくためには、1990年代の三つの重要文書ーー村山談話(95年)、河野談話(93年)、および日韓パートナーシップ宣言(98年)の核心的内容を引き継ぐことが大切だと考えます。日韓両国間の二つの懸念(旧日本軍『慰安婦』と元徴用工問題)については、被害者の名誉と尊厳の回復が何よりも大切であり、そのために日本政府は誠意ある対応を行うことが重要です」と述べました。
 村山談話は、「植民地支配と侵略によって、(中略)多大の損害と苦痛を与えました。」と述べました。
 河野談話は、「いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」としました。
 1998年の日韓パートナーシップは、「植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた。」と述べました。
 石破首相は、日韓首脳会談で、「これらの文書の立場を全体として引き継いでいる」と述べたことは重要です。
 志位議長がその上で指摘する「被害者の名誉と尊厳の回復が何よりも大切」として中身について、日本軍慰安婦、元徴用工とともに、長生炭鉱の水没事故犠牲者が含まれると思います。
 私は、石破首相は、1990年代の3つの重要文書の立場に立ち、長生炭鉱水没事故犠牲者の名誉と尊厳の回復のため、遺骨収拾と返還に責任を果たすべきだと思います。
 東京新聞の社説に、2005年の日韓合意の前提になったのが、2004年12月17日、18日、鹿児島県指宿市で行われた小泉純一郎総理と廬武鉉大統領との日韓首脳会談です。この中で、韓国の徴用者の遺骨問題の解決について、小泉総理は、「可能なことを検討するとの意思を表明」しました。
 石破首相は、この日韓首脳会談の内容を受けて、長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨収拾と返還に取り組む必要があります。
 吉見義明著「日本軍慰安婦」に、「2001年に開かれたダーバン会議(反人種主義・差別撤廃世界会議)以降、植民地責任(植民地支配責任)の問題が改めて強く意識されるようになっている」とあります。
 ダーバン会議での宣言の立場で、イギリスなどが旧植民地に対して様々な補償を実際に行っています。
 私は、ダーバン宣言の立場に立って、石破首相は、日本軍慰安婦や元徴用工問題とともに、長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨収拾と返還に取り組むべきだと思います。
 刻む会では、長生炭鉱跡で犠牲者の遺骨と思われる人骨が収拾後、始めての政府交渉を9月9日に行う予定です。この政府交渉を契機に、犠牲者の遺骨収拾と返還が政府の責任で実施されることを強く望みます。
 県議会においても、しっかり発言していきたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。