井上靖が母との記憶を書いた自伝的小説「わが母の記」を読んでいます。
まだ、読み始めたばかりですが、父との記憶、母との記憶がリアルな筆致で記されています。
自分は父とは対照的な人物だと思っていたが、さりげない仕草が亡くなった父と全く同じだと感じる瞬間があることが記されています。
私も父を亡くして6年になりますが、最近、父と同じだなあと思うことが増えました。
「しろばんば」などにあるように、井上は、実母とは幼少の頃は離れて暮らしていました。
その母が父が亡くなった後、認知症を患います。
同じ話を繰り返す母との交流が続きます。
私の母は、約10年前に大病しましたが、今は、元気そのもので、実家に一人ですが、自立した生活を送っています。
先日、西宇部校区人権教育推進協議会主催の地区別学習会で、「老いを生きる」という映画を上映しました。
認知症の母を取り巻く物語です。感想を出し合う時間に、50代の女性の方が、泣きながら親の介護の話しをされているのが印象的でした。
私にとって、幸いにも、母の老いを感じることはありませんが、母がどのように老いたとしても、支えていける覚悟を「わが母の記」から学んでいこうと思います。
私が、なぜ今、井上靖の「わが母の記」を読んでいるのか。そうなんです。この小説が映画になり、来年公開予定なのです。
この映画は、早くも「第35回モントリオール世界映画祭」で審査員特別グランプリを受賞しました。
井上役を役所広司さんが、母役を樹木希林さんが、井上の娘役を宮崎あおいさんが演じます。日本を代表する俳優の競演に期待したいと思います。
監督は原田眞人さん。「クライマーズ・ハイ」はとても感動的でした。
「絆」が叫ばれる中、我が家族の絆を小説と映画で見詰め直したいと思います。
No comments yet.
コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。
メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。