三宅唱監督の映画「夜明けのすべて」を観ました。
三宅監督映画を観るのは前作の「ケイコ 目を澄ませて」以来です。
「ケイコ 目を澄ませて」は、YCAMで上映会があり、三宅監督のトークショーにも参加し、一緒に写真を撮っていただいたことを思い起します。
YCAMで、「ケイコ 目を澄ませて」の上映会と三宅監督のトークショーがあった際に、撮影していただきました。
前作の主人公は、聴覚に障害を持った女性でした。
今回は、パニック障害、PMS(月経前症候群)、パーキンソン病など様々な困難を抱えた人たちが主人公の映画です。
三宅監督ならではの当事者に寄り添いながら、抱えた困難を丁寧に描いた作品だと感じました。
松村北斗さん演じるパニック障害を抱えた山添と、上白石萌音さん演じるPMSを抱えた藤沢が、支えあう映画でもあります。
二人が勤める科学玩具メーカーの「栗田科学」で働く人たちの姿も丁寧に描いた作品です。
競争は度外視で、働く人が過ごしやすい会社として「栗田科学」が描かれています。
困難を抱えた人たちを排除するのではなく包摂しようとする社会のモデルが「栗田科学」だと感じました。
もう一つ、この映画で描かれているのが、「自死遺族の会」です。
「栗田科学」の社長の栗田も、山添が前に勤めていた会社の上司である辻本も、兄弟を自死で失っています。
そのような過去を持つ栗田と辻本が、パニック障害を持つ山添を包摂しています。
映画の中で、栗田社長の自死した弟が書いた「メモ」を藤沢が朗読します。
メモはこう締めくくられています。
「喜びに満ちた日も、悲しみに沈んだ日も、地球が動き続ける限り、いつか終わる。そして、新しい夜明けがやってくる。」
夜明け前が一番暗い これはイギリスのことわざです。
夜明け前で、私の敬愛する反戦川柳作家の鶴彬の次の川柳を思い出しました。
「暁を抱いて闇にいる蕾」
暗い中に佇む蕾は、花開く夜明けを待っている。
この川柳は、鶴の作品で私が一番好きなものです。
この句を思い出すと力が湧いてきます。
原作「夜明けのすべて」は、本屋大賞作家・瀬尾まいこさんの作品です。
今、文庫本を145ページ読みました。
映画と原作の違いを見つけるもの楽しみの一つですね。
原作を読了したいと思います。
そして、なにより、三宅唱監督作品を観ることができたことに感謝したい気持ちでいっぱいです。
三宅監督の次回作を大いに期待しています。
三宅監督これからも応援させていただきます。
三宅監督の映画「夜明けのすべて」を一人でも多くの皆さんに劇場でご覧いただきたいと思います。
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