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宇部市が新年度予算に新産業団地調査事業を計上 県の「第二期事業」狙いか

 山口県は、2022年6月「山口県産業団地整備方針」を発表しました。
 整備方針では「今後、企業誘致を積極的に推進していくためには、企業ニーズに的確に対応可能な産業団地の確保が不可欠であり、早急に対応していくことが必要となっている」として、次の4つの運営方針を示しました。
 ①産業団地の早期整備及び事業費の抑制
 ②県・市町連携による事業効果の早期発現
 ③強力な誘致活動の推進
 ④適切な進行管理
 その上で、整備方針は、以下4点の用地選定の視点を示しました。
 ①重要成長分野の立地が可能な用地
 ②開発費及び開発期間が圧縮でき、可能な限り大規模に開発ができる用地
 ③地元市町の積極的な協力により、地元調整が可能な用地
 整備方針は、第一期事業として、「光市小周防地区」において産業団地の整備を行うことを明らかにしました。
 24年度予算に、「産業団地整備推進事業」2億8千万円余が計上され、今年度、光市小周防地区の産業団地造成工事に必要となる設計及び先行工事を実施し、用地取得に関する調査及び用地の取得が実施されます。
 冒頭の山口県産業団地整備方針に戻ると、最後に「第二期事業に向けた検討」とあります。
 整備方針は「第1期事業を実施しても、近年の大規模売却面積が2~3㌶であり、今回の分譲面積が8㌶程度であることを考慮すると、県内の事業用地が十分に確保できる状況とは言えない」として「令和4年度に第2期事業の実施に向けた調査を行った上で、候補地所在市町との協議等を通じて、産業団地整備の検討評価を行う」としています。
 整備方針は「評価の結果、産業団地整備に適していると判断できる事業用地がある場合には、その時点での社会経済情勢等諸般の状況を考慮した上で、企業の投資マインドを逃すことのないよう、産業団地整備に向けた調整を開始する」としています。
 2012年3月、土地開発公社など3公社が廃止されました。当時、県関与産業団地97.2㌶の内、分譲ができたのは41.8㌶に留まり、産業団地の負債額は約43億円に上り、同額の県債発行によって処理されました。
 2011年2月県議会の私の質問に、二井知事(当時)は「長期の経済状況の変化を読み取ることができなかったことは、私の不徳のいたすところであり、今後は反省の上に立ち、確実なニーズの見通しが立たなければ、新たな産業団地の造成はすべきではないと考える」と答えました。
 私は、新たな産業団地を整備するための事業費を計上した22年6月県議会で、「なぜ、新たな産業団地を造成するのか。確実なニーズの見直しを立てた計画なのか」質しました。
 小関商工労働部長(当時)は「土地開発公社解散時において、産業団地未分譲面積は、約55㌶あったが、この10年で分譲が進み、現在では、約11㌶になっている。この11㌶についても、企業から引き合いがあり、今後も順調な分譲が見込まれている。こうした企業ニーズに加え、今後も、グリーンやEV化、製造拠点の国内回帰などへの対応により、企業の設備投資は堅調に推移するものと考えている。また多くの企業から、県東部地域に進出したいとの声もいただいていることなどを総合的に勘案して、このたび、光市に産業団地を整備することとした」と答えました。
 県は、土地開発公社に、約17億円の利子補給を行ったり、未分譲の産業団地は、地元自治体4割、県4割、合計8割の土地取得費を企業に補助する制度を設けて、分譲に至った経緯があります。
 私は、「新しい工業団地には、利子補給や土地取得費補助などの税金投入はせず、団地造成にかかった経費を企業の負担とすべき」と質しました。
 小関部長は「敵地については、企業ニーズを踏まえ、インターチェンジに近く、一定規模の分譲面積の確実な確保が可能なことや、価格競争力のある産業団地となるよう、開発期間や費用の圧縮が可能な用地を選定したところである。今後、調査や設計等を進める中で、事業費の縮減に努めていくこととしており、現時点で、補助金など、県の負担は予定していない」と答えました。
 宇部市の当初予算に、「新産業団地調査事業」として700万円余の予算が計上されています。
 宇部市は、「県が整備を検討している新たな産業団地の誘致に向けて、適地の選定調査等を行う」としています。
 県産業労働部の担当者に確認したところ「現時点で、宇部市との協議は行っていない」との回答でした。
 しかしながら、先ほど引用した、山口県産業団地整備方針に「第二期事業の実現に向けた調査」を行うことや「候補地所在市町との協議等」を通じて、産業団地整備の検討評価を行うとしていることに呼応した宇部市の予算化だと考えられます。
 私は、10日に、①令和4年度に、第二期事業の実施に向けた調査をどのように行ったのか②県内市町とどのような協議を行い、産業団地整備の検討評価を行ったのか③今年度、第二期事業の実施に向けて、どのような調査を行うのか、県は市町とどのような協議を行う予定かのか、などについて産業労働部に照会を行ったところです。
 結果については、本ブログで報告していきます。
 県は、大量の産業団地を造成し、大量の未分譲団地を残し、大量の県財政を投入し、売買価格8割引きで、売りさばいた過去をしっかりふりかえるときです。
 二井知事(当時)が、大量の未分譲団地を残したことについて「不徳のいたすところ、今後は反省の上に立ち、確実なニーズの見通しが立たなければ、新たな産業団地は造成すべきではない」と答弁したことを県は、今、重く受け止める時です。
 確実なニーズの見通しを立てずに、次々、産業団地を造成する歴史を繰り返すことはすべきではないと思います。
 以上の立場で、産業団地の新たな造成の動きをしっかりチェックしていきたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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