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中教審が「小規模校のメリットを最大化する」と表現 県教委の「望ましい学校規模」見直し必要

 7日、子どもと教育をまもる山口県民会議(熊野譲代表)と山口県高等学校教職員組合(石田高士委員長)と山口県教職員組合(林淳生委員長)は、繁吉教育長に「県立高校再編前期計画(2022年度~2026年度計画)」による柳井・周南地域における再編・統廃合についての要請」を行いました。

 要請文は以下の通りです。

・・・

2023年9月7日

山口県教育委員会
 教育長 繁吉 健志様

子どもと教育をまもる山口県民会議
 代表   熊野 譲

山口県高等学校教員組合     
 執行委員長 石田高士
山口県教職員組合        
 執行委員長 林 淳生

 「県立高校再編計画前期実施計画(2022年度~2026年度計画)」による柳井・周南地域における再編・統廃合についての要請

 子どもたちの成長と発達を保障する行政、教育行政の推進に敬意を表します。
 さて、山口県教委が、柳井・周南地域の5つの高校を2校に再編する方向で調整を進めており、早ければ9月県議会に再整備案を提出する見込みであるとの報道がなされています。「県立高校再編整備計画前期実施計画(2022年度~2026年度)」には、「柳井地域・周南地域については、引き続き再編整備の検討を進め」とありますが、あまりにも拙速すぎ、教職員だけでなく、生徒、保護者、地域住民、自治体に戸惑いと不安が広がっています。そもそも県教委が掲げる「1学年4~8学級を望ましい学校規模」とする「選択幅の広い教育の推進」が、子どもたちにとって本当に選択幅が広い教育の推進になるのか、どの子どもにも教育権が十分に保障されるのか、小規模校を切り捨ててよいのかなど、「県立高校再編整備計画」に対してはさまざまな意見があります。中教審で現在検討が進められている「高等学校教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ(案)」では、「公立高校の適正規模・適正配置については、多様な人間関係の中で得られる学びなどを踏まえれば、一定の規模を確保することの意義は大きいとされてきたが、(中略)学校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題となり得るものである。地域と密着した小規模校ならではの多様な人間関係の構築の在り方も考えられる」と指摘し、小規模校の意義について改めてスポットを当てています。
 県立高校とはいえ、地域と住民の共有財産です。また文科省も、「公立高等学校の設置については、設置者である地方公共団体が適切に判断いただくものですが、生徒や保護者のニーズ、進学動向、生徒の通学事情、地域の実情等に十分配慮しつつ判断いただくことが望ましいと考えています。このため、各設置者においては適宜、各高等学校が所在する地元の市町村をはじめとする地域社会の関係機関との丁寧な意見交換等も行いながら、各地域における生徒の学びを第一に考え、特色・魅力ある高等学校の整備に取り組んでいただきたい」と示しているように、高校再編整備・募集停止については、生徒や保護者、教職員だけでなく、地域にとっても重要な事柄であり、関係者や保護者・地元の民主的な話し合いによる合意を重視し、決定されるべき事柄だと考えます。
 つきましては、下記の事項について要請するものです。

1.柳井・周南地域における県立高校「再編整備計画」はあまりにも拙速であり、9月県議会での公表はおこなわないでください。

2.柳井・周南地域における県立高校「再編整備計画」の具体化については、検討の段階から対象となる学校の会計者や生徒、保護者、地域住民、自治体等の参加によるオープンかつ十分な時間を保障した話合いの場をもってください。また、当事者の合意をもとにすすめてください。当該校の教職員との民主的な討論を十分保障してください。

3、これまでの県立高校再編整備について総括・検証し、県民に明らかにしてください。

4、「県立高校再編整備計画前期実施計画(2022年度~2026年度)」が掲げている「1学年4~8学級を望ましい学校規模」として高校再編整備を進めるのではなく、地域の存続、教育を受ける権利の保障等の視点から、小規模の意義を見直し、適正配置の議論をすすめてください。

以上

・・・
 8月31日に、中央教育審議会初等中等教育分科会が発表した「高等学校の在り方ワーキンググループ中間まとめ」に、「少子化が加速する地域における高等教育の在り方:小規模校の教育条件の改善に向けて」があります。
 この中に、上記の要請文でも一部引用されている内容を見ていきたいと思います。
 「公立高等学校の適正規模・適正配置については、多様な人間関係の中で得られる学びなどを踏まえれば、一定の規模を確保することの意義は大きいとされてきたが、一方で、少子化が加速する中、生徒の通学可能な範囲を私立の高等学校の設置状況も踏まえて考慮し、適正配置を考えていくことも必要である。また、高等学校は地方創生の核となる存在であり、少子化が加速する地域においては、学校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題ともなりうるものでもある。さらに、地域人材との交流や、小中学校や他の高等学校等との連携による、地域と密着した小規模校ならではの多様な人間関係の構築の在り方も考えられる。こうした観点から、都道府県が適正規模・適正配置に関する議論を行う中で、一定の小規模校について地域に残す必要がある場合に、小規模校のメリットを最大化するとともに、過大を最大限解消し、教育条件の改善につながる方策を国としても考えていく必要がある。」
 2022年3月に県教委が発表した「第3期 2022年度~2031年度)県立高校将来構想」では、「望ましい学校規模」を「1学級当たりの生徒数を原則40人として、1学年4~8学級を望ましい学校規模とします」としています。
 この大方針の元、これまで3学級以下の高校や分校などが次々に統廃合されてきました。
 上記で引用した中間とりまとめに「都道府県が適正規模・適正配置に関する議論を行う中で、一定の小規模校について地域に残す必要がある場合に、小規模校のメリットを最大化する」との指摘があります。この点について山口県としても検討すべきです。
 また、「高等学校は地方創生の核となりうる存在であり、少子化が加速する地域においては、学校の存続は地域の存続にも関わる重大な課題ともなりうるものである」との「中間まとめ」の指摘についても県教委は重く受け止めるべきだと思います。
 私は、県教委の「望ましい学校規模=生徒数を原則40人、1学年4~8学級」との方針を中教審の中間まとめの指摘を受けて小規模校のメリットを認めた内容に抜本的に見直すべきだと考えます。
 県内で、高校の統廃合が止まりません。
 このままでは、多くの中山間地域で高校がなくなります。
 高校再編に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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