5月5日、しんぶん赤旗日刊紙は、沖縄県議会が、日本政府に対話と外交による平和構築の取組を求める意見書を可決したと次のように報じました。
「岸田文雄政権が安保3文書で軍事力増強による抑止力の強化を求める一方、沖縄県議会は、日本政府に対話と外交による平和構築の取り組みを求める意見書を可決(3月30日)しました。また、沖縄県は地域外交室を設置し、玉城出デニー知事が訪中を検討。先の大戦で住民を巻き込んだ悲惨な地上戦を経験した沖縄は、『二度と沖縄を戦場にしてはならない』と、対話による世界の平和と発展に踏み出しています。中国の軍事動向を『最大の戦略的挑戦』と明記した安保3文書が掲げた南西地域の軍事力強化について、県議会の意見書は『かえって地域の緊張を高め、不測の事態が生じる危険性が増すことへの懸念は拭えない』と指摘。敵基地攻撃能力保有については『相手国からのミサイル等による報復を招くことは必至』と強く警告しています。県民の間には『沖縄が標的にされる』『再び戦場になるのではないか』と大きな不安が広がっています。日本共産党の渡久地修県議団長は、意見書採決の賛成討論で、岸田政権の大軍拡が、地上戦に突入していった戦前の動きと重なるからだと強調。1944年3月、南西諸島方面の防衛強化のために沖縄守備軍第32軍が創設されたことから始まり、飛行場建設などを進めて地上戦に至った経緯と、現代の大軍拡の動きを比較して紹介しました。さらに渡久地氏は、米中対立と『台湾有事』があおられる中、軍拡を進める日本が米国の戦争に参加させられ、それによって想定される結果についても指摘しました。米議会調査局(CRS)の今年1月の報告書は『中国が台湾を攻撃する場合、日本の南西諸島に近い場所で軍事作戦を行う可能性が高い』『仮に米軍が台湾有事に介入する場合は、在日米軍基地が関与する可能性があり、その場合、日本は中国の攻撃目標になる可能性がある』としています。米シンクタンク『戦略国際問題研究所』(CSIS)は、中国による台湾侵攻を想定した机上演習結果の報告書(1月)で、『沖縄では中国のミサイルによって多くの航空機が地上で破壊される』『嘉手納基地は破壊された多数の航空機、多くの遺体を埋葬する仮設墓地を有するようになる』など沖縄における甚大な被害について記述しています。これらを示した渡久地氏は『戦争は始まる前に止めなければならない』と述べ、軍事力による抑止ではなく、外交と対話による平和構築を求める意見書の意義を訴えました。とりわけ意見書は、日中両国が日中共同声明(1972年)をはじめ、日中平和友好条約(78年)、日中共同宣言(98年)、『(戦略的互恵関係)の包括的推進に関する日中共同声明』(2008年)といった諸原則に基づき『平和共存の道を歩んできた』と強調しています。08年の日中共同声明は『双方は、お互いに脅威とならない』としています。意見書は、日本と中国が最大の経済パートナーとして必要不可欠な関係だとして『日中両国は、国民の命を脅かし、アジア太平洋地域において甚大な経済損失を生み出すことがないよう緊張緩和と信頼醸成を図り、平和構築への最大限の努力を払うべきである』と主張。『日中両国において確認された諸原則を遵守し、両国間の友好関係を発展させ、平和的に問題を解決すること』を政府に求めています。」
沖縄県議会で可決された意見書は以下の通りです。
・・・
沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書
令和4年12月16日に閣議決定された国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画の3つの文書には、反撃能力の保有、防衛体制強化のための南西地域の空港・港湾建設等の整備・強化及び第15旅団を師団に改編すること等、沖縄の軍事的負担を強化する内容が記述されている。また、沖縄本島のうるま市をはじめ宮古及び八重山地域へのミサイル配備、航空自衛隊那覇基地の地下化及び沖縄市の弾薬庫建設等、本件の軍事要塞化も進んでいる。
アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増していると言われる中、軍事力機能の増強による抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずる危険性が増すことへの懸念は拭えない。また、反撃(敵基地攻撃)能力による攻撃は、相手国からのミサイル等による報復を招くことは必至で、「沖縄が再び『標的』とされる」との不安が県民の中に広がっている。
当該3文書は、中国の対外的な姿勢や軍事動向等を国際社会の平和と安定への最大の戦略的な挑戦と位置付けており、南西諸島への軍事的機能の増強が進んでいる現状は、明らかに中国を意識したものである。
一方、日本と中国はこれまで、「日中共同声明」をはじめ、「日中平和友好条約」、「日中共同宣言」、「戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明」及び「日中関係の改善に向けて話合い」等に基づき、両国関係のさらなる進化と諸問題の解決を進め、平和共存の道を歩んできた。
中国は今や日本にとって最大の経済パートナーで、お互いにとって必要不可欠な関係が既に構築されていることから、日中両国は、国民の命を脅かし、アジア太平洋地域において甚大な経済損失を生み出すことがないよう緊張緩和と信頼醸成を図り、平和構築への最大限の努力を払うべきである。
よって、沖縄県議会は、日本政府に対し、対話と外交による平和構築への一層の取組により、決して沖縄を再び戦場にしないよう強く求め、下記事項について強く要請する。
記
1 アジア太平洋地域の緊張を強め、沖縄が再び戦場になることにつながる南西地域へのミサイル配備など軍事力による抑止力ではなく、外交と対話による平和の構築に積極的な役割を果たすこと。
2 日中両国において確認された諸原則を遵守し、両国間の友好関係を発展させ、平和的に問題を解決すること。
以上地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年3月30日
沖縄県議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
防衛大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
(沖縄及び北方対策)
以上に宛て
・・・
全国が沖縄化され、山口県は沖縄と同様の問題を抱えています。
一つは、岩国基地があるということです。
記事で紹介された米シンクタンク「戦略国際問題研究所」の報告書は、台湾への出撃拠点の一つが岩国基地だとしています。
そうなると、嘉手納基地だけでなく岩国基地が標的になることは必至です。
二つは、自衛隊基地の強靭化計画です。県内には、7つの対象施設があります。
自衛隊基地を核兵器の攻撃にも耐えうる抗たん化(再び攻撃する力)をつけようというのです。
山口県民の命を守るためにも、対話による平和構築が必要です。
山口県議会でも沖縄同様の意見書が採択できるよう、新しい議会で力を尽くしたいと思います。
沖縄県議会が対話による平和構築を求める意見書を採択しました。
皆さんのご意見をお聞かせください。
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