私は、12月6日に一般質問で登壇しました。
今日は、上関原発に係る質問の部分について報告します。
知事は、11月28日、上関原発に係る公有水面埋立免許の延長を許可しました。指定期間内に竣功できなかったことについて合理的理由があること、土地需要があること、の2つの要件をいずれも満たしていることを理由にあげています。
指定期間内に竣功できなかった理由について中国電力は、埋立工事に先立って必要な海上ボーリング調査は「調査地点付近で複数の船舶を停泊させることなどの行為が継続してあったことなどにより、当該調査を終了でき」なかったことが、「これについては訴訟により解決を図る」と説明しています。
私は、①訴訟の所要期間11月、海上ボーリング調査の所要期間6月、埋立工事の所要期間3年としている。この3点について「合理的な理由がある」とした根拠は何か②知事は中国電力に「発電所本体の着工時期の見通しがつくまで埋立工事を施工しないこと」を要請し、中国電力自ら「その趣旨を重く受け止める」と回答している。今、原子力規制委員会で「審査中」とされている上関原発の原子炉設置許可申請の中身は、新規制基準を満たしたものでないことは明らか。それなのに少なくとも17カ月後には「発電所本体の着工時期の見通しがつく」と判断した理由は何か。③埋立許可をした2008年から14年間、工事は一歩も進んでいない。この事実こそ、埋立に「合理的な理由」などない証左である。延長許可を取り消し、中国電力には出直すよう求めるべきだと質しました。
①と②について和田土木建築部長は「事業者からは、埋立工事に先立って実施する必要がる海上ボーリング調査を実施できていなことから、当該調査の所要期間や工事期間が必要であるとの説明がされている。さらに、訴訟による判決を得て、安全に作業が進められる状況を確保したうえで、海上ボーリング調査を実施するため、訴訟に要する期間が必要であることか、これらを合わせて、4年5月の延長期間が必要であるとの事業者の説明に合理性があり、県としては、妥当であると判断したものだ」と答えました。
③について和田部長は「今回の延長申請については、埋立免許権者として、法令に従い、厳正に審査したところ、正当な事由があると認められたことから、許可したものであり、取り消すことは考えていない」と答えました。
中国電力が免許延長申請をした翌日の10月24日、朝日新聞は中国電力は免許の期限切れから一審判決までに見込まれる11月を加えたと報じました。
私は、「県は中電から訴訟11カ月の内容について一審判決までだという説明を受けたのか」と質しました。
この国は、三審制です。中国電力がたとえ一審で勝訴したとしても、住民側は控訴するでしょう。最高裁まで裁判が続く可能性は十分あります。中電は、住民との裁判に勝利し、海上ボーリング調査が行えると県に説明したのかもしれませんが、中電がいう11カ月という訴訟期間に妥当性はありません。裁判に勝訴する保証もありません。
私は「中電が今後、埋立を続行するのに十分な理由があるとは考えられない。中電の説明に対して県が十分な理由があると判断したことは、公有水面埋立免許に対する裁量権の濫用と言わなければならない」と質しました。
和田部長は「事業者からは、裁判所の公表資料に示される民事第一審通常訴訟事件の平均審理期間から、この度の訴訟以降竣功期限までの期間を除いた期間が必要であり、調査地点付近において海上ボーリング調査の作業の妨げとなる行為があったために調査が実施できなかったことに対して、『団体は自己または第三者をして海上ボーリング調査を妨害してはならない』という判決を得ることで妨害行為を防止し、海上ボーリング調査を実施することができると説明している。埋立免許権者として、法令に従い、厳正に審査したところ、正当な事由があり、許可要件を満たしていると認められたことから、延長許可したものであり、ご指摘は当たらない」と答えました。
11月29日の毎日新聞は、祝島島民の会の清水代表のコメントとして「今後とも漁業法により認められている漁業を続けていく」と報じました。
熊本一規明治学院大学名誉教授は、祝島島民には自由漁業権があるとコメントしています。
私は、「裁判の判決がどうであろうとも、祝島島民の自由に漁業を営む権利は消滅できないと思う。つまり、ボーリング調査を、中電が継続することは困難だと思う。よって、今後、埋立が続行する十分な理由があるとしたことは、県の裁量権の濫用と言わなければならない」と質しました。
和田部長は「訴訟の結果について、県が判断できるものではありませんが、事業者は、民事訴訟において、団体は自己または第三者をして海上ボーリング調査を妨害してはならないとの判決を得ることで妨害行為を防止し、安全に作業を進められる状況を確保した上で、海上ボーリング調査を実施することができると説明している。県としては、当事者間で争いのあるものについて、司法的に解決を求め解消を図るという事業者の説明に合理性があることから、竣功できなかった要因の解消の見込みがあると考えている。埋立免許権者として、法令に従い、厳正に審査したところ、正当な事由があり、許可要件を満たしていると認められたことから、延長許可したものであり、ご指摘は当たらない」と答えました。
県は、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは埋立工事の施工をしないことを要請しました。
11月21日、日本共産党県議団が政府交渉を行い、資源エネルギー庁とも懇談を行いました。その中で、担当者は「原発新設の規制基準は未だに出来ていない」ことを認めました。
私は「到底17カ月後に発電所本体着工の見通しは立たないと考えるが、商工労働部理事の見解を尋ねる」と質しました。
三浦商工労働部理事は「県としては、どういう状況になれば発電所本体の着工時期の見通しがつくといえるのか、あらかじめ具体的に想定しているものではなく、お示しの規制基準に着目したものでもない。今後、工事の施行について、中国電力が『発電所本体の着工時期の見通しがついたと判断できる状況になった時点で改めて県に相談する』としているので、県としてはその段階で適切に判断したい」と答えました。
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