ブログ

岸惠子著「岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べれない」

岸惠子著「岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない」を読了しました。
 本の帯に社会学者の上野千鶴子さんが「自伝でありながら、上質な連作エッセイを読んだような読後感に満たされる」と書いていますが、まずは、岸さんの文章の上手さに魅了され続けた作品でした。
 自伝の中で、高校時代、国語が最も得意だったとあり納得しました。
 「君の名は」の大ヒットでトップ女優となった岸さんは、女優だけのプロダクション「にんじんくらぶ」に参加します。岸さんはプロダクション設立の意義について「出たくない作品には『ノー』と言う権利が欲しかった。」と書いています。
 1954年という時代に、女優の権利向上の旗を掲げた意義は大きかったと思います。
 そして、医師・映画監督のイヴ・シャンピさんとの結婚は、岸さんが、国際ジャーナリストとして活躍する基盤となったと思います。
 テレビ朝日の番組で、イスラエル国内で取材中、撮影隊が襲撃され、命からがら脱出したくだりは、私が持つ岸惠子さんのイメージを根底から崩すものでした。
 岸さんは女優として数々の作品に出演しながら、作家として数々の作品を世に送り、国際ジャーナリストとして世界を飛び回ってきた人だったのです。
 この自伝を読んで、時代を切り開く知識人としての岸惠子さんの全体像を理解することが出来ました。
 岸さんは私の母と同世代です。そんな岸さんの時代を見る慧眼に学ぶ点が多くありました。岸さんが出演された映画や執筆された小説や随筆に少しづつ触れていきたいと思います。
 米寿の岸さんの成熟した知性から紡がれる文章は、これからも触れることが出来ます。岸さんの新しい作品に期待したいと思います。
 岸惠子自伝は、一人でも多くの皆さんに読んでいただきたい作品です。
 岸ファンの皆さん、お勧めの映画や著作をお教え下さい。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。