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新年度、石炭火力発電所予定地への工水整備事業の予算計上は見送られる

  私は、2019年6月県議会で、企業局が取り組む宇部・山陽小野田市区工業用水供給体制再構築事業について次のように質しました。
 「本事業は、西沖の山地区に、石炭火力発電所が建設されることを前提としたものだ。想定事業費は約16億円、2016年から調査、設計が行われ、いよいよ今年度から工業用水施設の追加整備などが計画されている。しかし、石炭火力発電所事業は抜本的見直しが行われているさなかだ。計画の見直しが必要だ。」
 篠原企業局長は「企業局では、これまでも関係企業と協議の上、当該発電所建設に係る投資動向や事業計画の検討状況を踏まえながら、再構築事業の調査、設計を実施してきたところだ。企業局としては、このたびの石炭火力発電所建設事業計画の見直し状況も踏まえ、必要な工業用水施設の整備等について適切に対応していく。」と答えました。
 2020年度予算に、企業局は「宇部・山陽小野田地区工業用水供給体制再構築事業」として1億7800万円を計上していました。
 想定事業費は26億円、事業期間を2024年度までとしていました。
 2020年度から工水の施設整備に着手する計画でした。
 しかし、2021年度予算に、企業局は「宇部・山陽小野田地区工業用水供給体制再構築事業」を計上していません。
 企業局の担当者は、「現在、西沖地区において石炭火力発電所事業に関する動きがない状況にあるので、本事業を計上しなかった。」と答えました。
 私は、「宇部・山陽小野田地区工業用水供給体制再構築事業」について石炭火力発電所事業の抜本的見直しが行われている状況から、工水再構築事業の見直しを求めてきた者として、企業局の今年度の対応を評価したいと思います。
 3月2日、グテレス国連事務総長は、温室効果ガスを多く輩出する石炭火力発電について、経済強力開発機構(OECD)加盟国に対して「2030年までの段階的に廃止するよう求める」と述べました。特に主要7カ国(G7)に対しては、世界を主導する役割を担い、遅くとも6月の首脳会議までに具体的な計画を示すよう求めました。
 国連事務総長が、脱石炭火力発電を明確に各国に求めました。
 SDGs未来都市の宇部市に、石炭火力発電所の新設は相応しくありません。
 山口県は、山口県地球温暖化対策実行計画(二次計画)を改定し、2030年度までに温室効果ガスを2013年度レベルの17.8%削減する目標を掲げました。17.8%削減するためには、森林吸収量を除き、701万トンの温室効果ガスの削減が必要です。県計画では、産業部門で約355万トン削減する計画です。山口県内には、現在でも17カ所の既設の石炭火力発電所があります。総発電量は約241万kwで、中国地方で最大です。
 気候ネットワークの平田国際ディレクターは、「日本の温室効果ガス排出内訳として22%が石炭火力だ」との資料を示しています。
 山口県の地球温暖化対策第二次実行計画の目標を達成するためには、既設の石炭火力発電所からの温室効果ガスの排出量を大幅に削減することが重要です。
 ましてや、県内に石炭火力発電所を新設することは考えられません。
 2019年、宇部市の石炭火力発電事業から大阪ガスが撤退しました。
 電源開発と宇部興産は、石炭火力発電所の新設を中止すべきです。
 宇部市の石炭火力発電所事業に対する新たな動きがなく、企業局は、当該地区への工業用水を敷設する事業について新年度の予算計上を行いませんでした。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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