10月11日、「上関原発用地埋立禁止住民訴訟の会」は、村岡知事に、「中国電力(株)による上関田ノ浦における海上ボーリング調査に関する質問と要望」を行いました。
その回答が、昨日、土木建築部河川課から行われました。
上関原発用地埋立禁止住民訴訟の会の質問に対し、回答書を手渡す坂本河川課長(左)
質問の第一は、「『一般海域占用許可基準』の『2占用許可の基本方針』には『社会経済上必要やむを得ない場合』のみ許可するとあります。従って、既に同様の申請を許可してきたと言うことは、当然、知事は新規原発である上関原発を『社会経済上必要やむを得ない』ものと認めているということになります。如何でしょうか。」です。
これに、河川課は「一般海域の占用許可は、原子力発電所本体工事とは別の、一般海域の利用に関する条例に基づく手続きです。昨年の申請では、海上ボーリング調査について、原発の安全審査に万全を期すために実施するとの事業者の説明に合理性があることが認められ、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可したものです。」と答えました。
質問の第二は、「中国電力(株)は、海上ボーリング調査を福島原発事故以降の『新規制基準』に基づくものだとしていますが、ここでいう『新規制基準』とは何のことでしょうか。」です。
質問の第三は、「この『新規制基準』が、上関原発に適用される理由をご説明下さい。」です。
この二つの質問に、河川課は「新規制基準は、原子炉等規制法に基づき事業者と原子力規制委員会との間で行われる原子炉設置許可手続きに係るものであり、一般海域の占用許可は原子炉設置許可とは法体系を別にしていることから、そもそも、新規制基準が上関原発に適用されるかどうかについては、一般海域の利用に関する条例に基づく審査の対象ではなく、お答えする立場にはありません。」と答えました。
質問の第四は、「知事はこれまでに『一般海域の利用に関する条例の手続きにおいて、条例の施行規則により同意を求めている利害関係人は、占用区域において、排他的・独占的な権利である漁業権を有する者』だと主張されていますが、同条例は利害関係人を『公衆』と謳っています(第5条1)。知事の主張は、施行規則の何処を言われているのでしょうか。」です。
これに、河川課は「一般海域の利用に関する条例施行規則第二条1項に『利害関係人がある場合にあたっては、その同意書』を申請書に添えて知事に提出しなければならない旨が規定されており、ここで同意を求める利害関係人は、占用区域において、排他・独占的な権利である漁業権を有する者です。」と答えました。
質問の第五は、「中国電力(株)は、昨年も同様の申請を行い、知事はこれを許可しています。ところが、この計画は頓挫しています。その理由について同社は、『複数の船舶が当該海域に停泊したこと等により安全が確保できず』などと述べていますが、そういうことが起きていること自体、あなたが適性に審査していないことの証左に他ならないのではないでしょうか。一体、利害関係者の同意とは何を目的としているのでしょうか。」です。
これに、河川課は、「昨年の申請については、一般海域の利用に関する条例に基づき適正に審査し、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可したものです。なお、審査に当たっては、利害関係人の同意書により、占用区域において排他・独占的な権利である漁業権を有する者からの占用行為への同意を確認したところです。」と答えました。
要望項目の第一は「中国電力(株)の言う『新規制基準』なるものは、同社に関して言えば、再稼働である島根原発2号機に係るものです。ところが、先頃開催された『原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合』(第894回。2020年9月3日開催)において同社は、『新規制基準』に向き合う根本的姿勢が問われ原子力規制庁より厳しく叱責されています。つまり、問題が起きた時の対応が求められるべきところ、同社は、問題自体を想定から外すということをしたのです(同議事録22頁以降参照)。すなわち、本来的に『新規制基準』に基づいて対応策を講じるべき事についてすら対応する能力も姿勢もないのが中国電力(株)と言わざるを得ないのです。当然、同社が、何の根拠もなく、同基準を新規原発である上関原発に適用していることをうのみにしてよいはずはないのです。すなわち、知事が、もしこの度も中国電力(株)の一般海域の占用を許可するのだとしたら、当然、その根拠となる『新規制基準』と上関原発との合理性を自ら理解した上でなければならず、当然、その事は、知事自らが県民に説明出来るはずですし、すべきです。そして、その合理性とは、当然一つには、『新規制基準』と新規原発との関係性についての国政府見解を以て構成されるべきものでありましょう。しかし、国政府は新規原発の『新規制基準』なるものは、策定作業すらしていないのが事実です。」です。
要望項目の第二は「『一般海域の利用に関する条例』は自由漁業者も含めて利害関係者としています。その同意が得られない以上、知事は許可できません。」です。
要望項目の第三は「国政府は、新規原発をエネルギー政策・計画に入れていません。従って、上関原発は『社会経済上必要やむを得ない』どころか、将来性のある事実とは言えません。重要電源開発地点指定が継続されているのは、単に、国政府の不作為によるものであり、事実、同規則とは著しい矛盾を来しているのが事実です。」です。
これらの要望に河川課は「(1)この度の一般海域占用申請については、現在、審査を行っているところであり、どこまでも一般海域の利用に関する条例に従って、適切に対処します。(2)現在、この度の申請に関する審査を行っているところであり、お求めの説明は、お示しできません。」と答えました。
「一般海域の利用に関する条例施行規則」2条1項に「利害関係人がある場合にあっては、その同意書」とありますが、利害関係人が「排他・独占的な権利である漁業権を有する者」という規定はされていません。
知事がこれまで「一般海域の利用に関する条例の手続きにおいて、条例の施行規則により同意を求めている利害関係人は、占用区域において、排他的・独占的な権利である漁業権を有する者」と説明してきましたが、「条例の施行規則」には、具体的に利害関係人を規定していないことが、昨日の河川課とのやり取りで明らかになりました。
知事は、今後、「条例の施行規則」で規定はしていないが、「運用」により、利害関係人を排他的・独占的権利を有する者としていると説明すべきです。
平林平治・浜本幸生著「水協法・漁業法の解説」の308ページに「漁業権とは、漁場の独占利用権でもなく、水面を支配し又は占用する権利でもない」とあります。
県が利害関係人を自由漁業者を含めないことに条例上の根拠はないと言わなければなりません。
中国電力(株)が、ボーリング調査のために県に申請を行ったのが、10月7日です。標準処理期間は33日です。
県は、来月上旬にも、中電の申請に対する判断を行おうとしています。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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