議員日誌

2018年の米軍機墜落事故の再調査結果が示される

 2018年、12月6日、高知県沖で、米海兵隊岩国飛行場所属F/A-18Dの戦闘攻撃機とKC-130空中給油機の空中接触・墜落事故について、昨年9月に米側の事故調査報告書が公表されましたが、この程、米側の統合処分担当官(CDA)による再調査が行われ、12日、中国四国防衛局が、その概要を福田岩国市長と藤田県総務部理事に説明しました。
 防衛省による「米海兵隊岩国飛行場所属機2機の空中接触による墜落事故に関する再調査結果の概要」には看過できない様々な問題が指摘されています。
 まず、事故要因の人員配置についてです。防衛省の「結果の概要」には次のように書かれています。
 「米本土の部隊に比べ、育成過程での成績の低い初回勤務の飛行士が、第242海兵全天候戦闘攻撃飛行隊に、意図せず数多く配置されていた。また、2回目・3回目の勤務の飛行士についても、第242海兵全天候戦闘攻撃飛行隊や飛行環境及び訓練制約に鑑み、これに十分対応するために必要となる各種資格や技能認定を有する者が少なかった。」
 7月11日の山口新聞はこの問題を次のように指摘しました。
 「米海兵隊が公表した報告書は中堅の航空操縦士らも米国外で唯一、常駐の戦闘機部隊を置く日本での勤務を敬遠する傾向にあると明らかにした。駐在部隊は、慢性的な人材不足で、能力向上に時間を取られ即応性が低下する悪循環に陥っている。太平洋地域での展開力を重視する上層部の危機感は強い。『ほとんどの操縦士は海外派遣を望んでいない』。報告書は配属2、3カ所目の中堅にとって日本駐在は人気がないと断言した。空域の制限や緊急輸送で訓練が十分にできないことなどを理由に挙げ、FA18戦闘攻撃機で作戦遂行に必要な資格を持つ人材が不足していると問題視した。」
 防衛省の「結果の概要」には、再発防止策等として米海兵隊総司令部から次の改善策が示されたと書かれています。
 「航空要員及び整備要員の配置に関し、海兵隊員個人の専門性のみならず、航空資格等を考慮することを含め、人員配置方針を変更すること。(例えば、育成課程修了後の初回勤務飛行士について、西太平洋地域を含む前方展開部隊に、最も能力の高い者を配置する等。)」
 しかし、山口新聞が指摘するように、空域の制限などにより「日本駐在は人気がない」状況が変わらないのなら、海兵隊総司令部の改善策が功を奏するのか疑問が残ります。
 次に「2018年事故の部隊調査について不正確な記述とされた主な事項」として次のように書かれています。
 「前回報告書で問題とされた一部搭乗員から検出された薬剤成分は、事故原因ではなかった(要因であった可能性はある)。」
 この点、防衛省の「結果の概要」には「睡眠管理研究を行い、必要であれば航空運用に関する方針を修正すること。また、薬剤に関する方針等を変更し、全ての航空要員等が確実に十分な訓練を受けられるようにすること。」とあります。
 米側及び防衛省は、今回の事故と薬物との関係について(要因であった可能性はある)とするなら、その内容を示し、薬剤に関する方針等の変更の内容を詳細に示すべきです。そうでないと、どのような問題がどう解決される見通しなのかを検証することが出来ないからです。
 日本の民間機で、操縦士から一定の薬物が検出されたら、操縦士だけではなく、航空会社にも甚大な影響を及ぼすものだと思います。
 日米地位協定でこの点でも米軍が特別扱いを受けることは許されません。薬物の問題も含めて、日本の航空法に米軍も準じるクリアな問題の検証と再発防止策が必要だと感じます。
 2018年の米側の事故報告書もそうですが、今回の統合処分担当官による再調査報告書も防衛省が公表するのは、「概要」です。
 防衛省は、総合処分担当官による再調査報告書全文(日本語訳)を、岩国市と山口県に示すべきです。
 引き続き、この問題の検証が必要です。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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