NHK山口放送局は、25日、第二期山口県総合戦略について、次のように報じました。
「政府が掲げる『地方創生』の実現に向けて、山口県は、人口減少に歯止めをかける地域振興策を数値目標とともに盛り込んだ新たな総合戦略の最終案をまとめ、来月策定することにしています。県が作成している来年度からの新しい総合戦略は、今年21日、市民や企業、大学などの代表を集めた会議で、最終案が示されました。総合戦略は、今月21日、市民や企業、大学などの代表を集めた会議で、最終案が示されました。総合戦略には、人口減少に歯止めをかけるための地域振興策として、産業の強化や人材育成などが盛り込まれていて、最終案では、5年後の令和6年までに達成したい目標が加えられました。このうち、基本目標として、▽若者や女性合わせて8000人の雇用を生み出し、▽転出者が転入者を上回る「転出超過」は、去年の4430人から半分にすることを掲げています。また、地域の活性化など各分野の取り組みの目標は130項目に及び、このなかでは▽最新技術を活用した20件のプロジェクトを成立させることや、▽副業で週末に県内を訪れる人などのいわゆる「関係人口」として425人を受け入れることなどが盛り込まれています。最終案について、会議の参加者からは、「目標の実現に向けて関係機関が情報を共有する組織を作るべきだ」といった要望が出されました。県はこうした要望を踏まえながら、来月、新たな総合戦略を策定することにしています。」
京都大学名誉教授で自治体問題研究所理事長の岡田知弘さんの近著に「公共サービスの産業化と地方自治 「Society5.0」戦略下の自治体・地域経済」(2019年8月発行)があります。
この本で、岡田先生は、国が進める「まち・ひと・しごと創生総合戦略」について次のように指摘しています。
「2019年5月23日、官邸に置かれた(第二期『まち・ひと・しごと創生総合戦略』策定に関する有識者会議)が、第1期の『地方創生総合戦略』の『中間とりまとめ報告書』を公表しました。(中略)同報告書では、第一期の進捗状況を振り返り、『東京一極集中に歯止めがあかるような状況とはなっていない』という厳しい現実を率直に認めざるを得ませんでした。さらに、6月7日には新聞各社が最新の人口動態統計の結果を報じ、2018年の合計特殊出生率は1.42となり、3年連続で減少したと報じました。つまり、2014年9月に鳴り物いりで開始された地方創生政策は、人口の東京一極集中を是正するという点でも『少子化』対策という点でも、成果を出せていないことが明らかになりました。けれども、同報告書では、なぜ第一期総合戦略がうまくいかなかったかについて、真剣な検討はなされていません。(中略)科学的・批判的な要因分析なしに、正しい処方箋が書けないのは、人間の病気だけでなく、社会的問題や現象についても同じです。ところが、同報告書では、またもや、その科学的な検証を避けて、これまでの政策を踏襲して『選択と集中』を強いるとともに、『新しい時代の流れに力にする』という項目を設けて、『Society5.0の実現に向けた技術の活用』と『地方創生SDGsの推進』を進めるとしています。(中略)これが、果たして災害が続き、経済のグローバル化のなかで疲弊し、格差と貧困化が広がっている地方を再生し、なかでも地方自治体や国の主権者である住民・国民の生活を向上させて、幸福度を高めることになるのかを、検証しなければなりません。」
第二期「山口県 まち・ひと・しごと創生総合戦略」の最終案は、第一期をどう検証したのか、疲弊する中山間地域を多く抱える県内の自治体と格差と貧困の中で苦しむ県民の生活を向上させるものなのか、私は、2月県議会でしっかり発言していきたと思います。
岡田先生の著作を導きの糸として、最終案がまとまった第二期総合戦略をしっかり検証していきたいと思います。
「第二期総合戦略」最終案は、県政策企画課のホームページからダウンロードすることができます。
総合戦略最終案に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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