2月18日に第四回宇部港長期構想検討委員会が宇部市内の会議室で行われました。
最後の宇部港長期構想検討委員会であり、宇部港長期構想(最終案)及び港湾計画の基本方針(案)並びに施設配置及び土地利用計画(案)が明らかにされました。
この委員会での審議を経て、宇部港の概ね20~30年先の将来像である宇部港長期構想が、今月中旬を目途に策定される予定です。
第四回宇部港長期構想検討委員会資料の中の「港湾計画変更の考え方」の中に「港湾取扱貨物量の将来見通し」があります。
平成28年の取扱貨物量の実績は、3087万トンです。平成40年代半ばの目標を4700万トンと1.5倍増を見込んでいます。
増加の最大のものは、公共バルク貨物です。平成28年実績の213万とんが7倍の1500万トンになると見込んでいます。
平成40年代半ばの貨物量に占めるバルク貨物の割合は98.4%になると見込んでいます。
平成14年に策定した現行の港湾計画の目標貨物量は3580万トンでしたが、それに対し実績は、3087万トンです。
今でさえ、目標を未達成なのに、平成40年代半ばの目標を4700万トンにする理由は、国際バルク戦略港湾に宇部港が指定されたことです。
宇部港のバルクは石炭です。宇部港に石炭バルク貨物が7倍になることを見込んでいるのです。
第四回宇部港長期構想検討委員会資料の中の「施設配置及び土地離党計画(案)の中に「沖の山・新沖の山地区」があります。
新沖の山地区は、埠頭用地52haと海面処理用地40haとあります。合計で92haです。
これまで県港湾課は、私に対し、新沖の山地区は、開発面積72ha、391億円と説明してきましたが、今回の検討委員会を通じ、開発面積が20ha増えています。事業費は、500億円を超えるのではないでしょうか。
更に、今回の土地利用計画(案)の中で、新沖の山地区に-16メートル、約700メートルの岸壁が建設され、それに至る-16メートルの泊地(64ha)と-16メートルの本港路が規定の港湾区画を越えて設定されています。
現在、283億円の事業費で、-13メートルの泊地と航路が建設されていますが、更に、水深を3メートル深くする必要性があります。
-16メートルの岸壁、泊地、航路を建設する理由は、取扱貨物量目標に照らして、石炭バルク7倍に対応するためです。
委員会資料34ページには、本港路を-16メートルとして、水域施設計画を拡大する理由がこう書かれてあります。
「・航路水深は大型船(パナマックス級満載入港)に対応するため、16m程度を計画する。・航路幅員は大型船(ケープサイズ級減載入港)に対応するため、1L以上を計画する。(L=ケープサイズ級船舶の全長)」
委員会の以前の資料に、ケープサイズ級の石炭バルク貨物船をまず、下松港に入港させ、2港として宇部港に入港させるとありましたが、その事を保証する港を整備しようとするものです。
私は、平成40年半ばに、石炭バルクの需要がどこまで発生するのかを問いたいと思います。
パリ協定の目標に基づいて、世界は脱炭素の流れです。宇部港が、この流れに逆行する石炭産業に依存する産業を継続する選択をしていいのかを問わなければならないと思います。
石炭バルクを利用する先の一つが西沖の山に計画されている石炭火力発電所でしょう。
先日、明らかにされた環境影響評価準備書の市長意見は、「環境先進都市宇部市に石炭火力発電所が必要な理由」が明らかになっていないとるものでした。
厳しい市長意見が出され、世界の流れに沿って、宇部市に計画されている石炭火力発電所の建設が中止された場合、本当に、石炭バルク貨物量が7倍に増える見通しでの-16mを前提とした巨大な港の開発が必要なのかどうかが問われます。
石炭火力発電所の建設を前提にした港湾計画を見直す必要はないでしょうか。
日本だけが石炭に頼った産業を継続することを世界が許すでしょうか。
その時に、現在明らかにされている宇部港の港湾計画は必要なものとしてあり続けることができるでしょうか。
国も県も国債・地方債の返済に追われ、将来の子どもたちの財政を先取りしている財政状況です。
更に、将来の子どもたちの財政を先取りして、行うに堪えうる計画かの検討が必要だと私は思います。
地球にとって、日本にとって、山口県にとっての視点での計画の見直しが必要だと私は思います。
限られた財源を何に使うか、宇部港長期構想立案にとって必要だと思います。
宇部港で石炭バルクを大量に集積するための巨大な開発を進めようとしています。
環境先進都市としての宇部市や山口県に相応しいものでしょうか。
皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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