昨日、原田眞人監督の映画「検察側の罪人」を観ました。
この映画は、「検察」とは何かを私たちに考えさせてくれる作品です。
映画のパンフレットで元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士が検察についてこう書いています。
「日本の刑事司法において広範かつ絶大な権限を有し、『正義』を独占する検察。その組織の中で、真実を追求し、法と証拠に基づき、あらゆる刑事事件を適正に処理すべく、誠実に職務に従事するのが検察官だ。」
郷原氏は、次のようなエピソードも書き添えています。
「過去に、特捜のエースと言われた健次が、政界捜査に対する捜査方針について特捜幹部と意見が対立して健次を辞職し、その直後に、月刊誌に特捜幹部を批判する手記を掲載したことがあった。その批判を受けた幹部が、その後体調を崩し、若くして亡くなったことで、手記を書いた元検事への私怨を持ち続けた検察幹部がいた。結局、その元検事は、逮捕・起訴され、弁護士資格も失ったが、その捜査は、私怨を持つ検察幹部が指示したものだと言われている。」
映画は、ある検察官が一線を越えて暴走する物語であるが、元東京地検特捜部検事の郷原氏が現実においても、決してあり得ないことではないとの指摘は、重いものです。
映画は、少年時代に殺人を犯した被疑者が、再犯、更に再再犯をしているかどうかが大きなテーマになっています。
この映画は、「検察」とは何かを考える一方で、「弁護士」とは何かを考えさせる映画です。
楾大樹弁護士の「檻の中のライオン」から、「弁護士はなぜ、『悪い人』を守るの?」を引用します。
「ライオンが檻から出て、勝手にだれが『悪い人』と決めつけて罰しないように、檻の外に見張り役がいます。それが弁護士です。その人は本当に悪いことをしたのか?どんな刑罰を科すのか?弁護士が監視します。」
この映画は、ひいては、「法」とは何かを考えさせてくれます。
再び「檻の中のライオン」から引用します。
「権力者は、気に入らない人を捕まえたり、処罰したりしがちです。戦前、わが国では、そういったことがよくありました。まちがって無実の人が捕まえられることも、よくありました。そのため、日本国憲法には、人身の自由、刑事手続きに関する規定がとてもたくさん置かれています。」
映画の中で「インパール作戦」が重要なテーマとして取り扱われています。
アジア・太平洋戦争で、インド北東部にある都市インパールを攻略する作戦ですが、10万人の兵士が派遣され、3万人の兵士が命を落としました。
この映画は、自由と平和への希求が通底に流れているテーマだと感じました。
憲法が保障する自由が私たちにこれからもしっかり享受されることをこの映画を通じて願いました。
雫井脩介さんの原作「検察側の罪人」を今読んでいるところです。
映画は心を豊かにしてくれます。選挙に向けて多忙な毎日ですが、昨日は映画を観てリフレッシュしました。
映画「検察側の罪人」をご覧になった皆さん、感想をお聞かせ下さい。
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