議員日誌

モモ

 ミヒャエル・エンデの「モモ」を再読しました。

 30年ぶりに読み直して、労働者が置かれている状況や子どもたちの置かれている状況を鋭く描いた名著であることを再認識しました。

 1991年に出版された「現代資本主義と『資本論』」にこう書いてあります。

 「1985年の我が国製造業法人企業生産労働者は、811万人であった。つまり、月平均でこれだけの数の労働力商品が製造業の生産要素として購買され消費されていた。労働時間は週47.3時間、年間2466時間である。生産過程でこれだけの労働時間が支出され、それ相当の価値が形成された。他方、生産労働者の家計で費やされた生活用品、サービス生産に投ぜられた労働時間は労働者一人当たり年間918時間(週換算17.6時間)であった。つまり、資本家は918時間分の価値を支払って労働力を購入(労働者を雇い入れ)する。ついでその労働力を消費して(労働者を働かせて)2466時間の労働をひきだし、それ相当の価値を獲得する。労働時間表示で918の価値が3倍の2466に増殖した。増加分の1548時間の労働が形成した価値が剰余価値にほかならない。2466時間働く労働者は労働力の販売で獲得した貨幣(賃金)で918時間分の生産物は自由にできるが、1548時間分は資本家のものである。これが資本制的搾取の仕組みである。」

 「モモ」に出てくる時間泥棒は、この資本制的搾取の仕組みを分かりやすく表現した物語だと読みました。

 13日、安倍首相は、連合の神津里季生会長の要請を受けて「残業代ゼロ」法案を一部修正して、秋の臨時国会で法案成立をねらう姿勢です。

 「残業代ゼロ制度」は、一定の専門職について労働時間規制を外し、残業代も払わなくてもすむ制度です。「残業代ゼロ・過労死促進法案」と批判されています。

 連合が示した修正案では、高度ププロフェッショナル制度を導入するさい、「104日の休日」付与を義務付けた上で、4つの「健康管理対策」から一つを選択させるといいます。しかし、104日の休日とは、週休2日になっても、あとは祝日も盆も正月も関係なく24時間働かせることが可能です。過労死の危険は変わりません。

 健康管理対策には「労働時間の上限」がありますが、残業は過労死ラインの月100時間を超えなければよいという緩い水準です。

 いすれにしても、「残業代ゼロ」法案は、資本制的搾取を強める法案に変わりはありません。

 労働法制の緩和ではなく、強化が今こそ求められています。

 日本共産党は、第27回党大会決議で「8時間働けばふつうに暮らせる社会」への働き方改革を提案しています。

 青年向けの冊子「JCPマガジン」に「8時間は『仕事』、8時間は『自由』、8時間は『休息』-1日8時間働いたら、そのあとの時間は、遊んでもいい、寝てもいい、なんでも自由につかえる。こんな人間らしい生活の実現を目指します。理想論では?いいえ、世界ではすでに現実になっている地域もあります。日本でも政治を変えれば、実行可能です。」と書いています。

 しんぶん赤旗日刊紙15日付けは、「2017年3月期決算(16年度)の上場企業で1億円以上の報酬を得た役員が457人(222社)にのぼり、過去最高を更新したとが分かりました。」「安倍政権のもとで法外な役員報酬が年々増える一方、労働者の賃金が伸び悩んでいます。」と報じました。

 資本制的搾取された利益が役員報酬の引き上げ内部留保にされています。この一部を労働者の賃上げと時間短縮にあてれば、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」は実現できます。

 モモは盗まれた時間を解放するために力を尽くします。

 現在の日本における「モモ」は、野党と市民の共闘だと思います。

 その中で、日本共産党のしっかり役割を発揮していくと求められていると思います。

 「モモ」を再読して大いに励まされた今日この頃です。

 奪われた労働時間を取り戻し、人間らしい生活ができる社会を実現していきましょう。

 「モモ」の感想をお聞かせ下さい。

 

 

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