念仏者9条の会・山口の連続講座で山大名誉教授の纐纈厚さんから「日本近現代史」の講義を受けています。
纐纈さんは、この講義にあたって次のように述べています。
「現在は文字通り、混沌とした時代であり、私たち市民にとって危機の時代です。近年、この国の立憲主義が否定され、戦後培ってきたはずの民主主義の行方に不安が高まっています。このような時にこそ、もう一度私たちが歩んできた過去の歴史を教訓とし、そこから新たな未来を展望する光を探し出そうとする営為が求められています。そこで共に学ぶ場を設定し、講話形式で先ずは1930年代の日本の歴史に遡り、満州事変が如何なる経緯で起こり、誰が如何なる目的で戦争政策を採用し、それを当時の国民(憲法上は臣民)が、何故に対応あるいは指示していったのかを振り返ります。そのことによって、1930年代の再来とも指摘可能な現在の政治や経済の実態を学び、議論していきたいと思います。」
私は、1930年代の日本の政治を学ぶために、中路啓太さんの「ロンドン狂瀾」を再読しています。
「ロンドン狂瀾」は、日本がロンドン海軍軍縮条約を締結するに至る1930年代初頭の日本外交を活写した小説です。
ロンドン海軍軍縮条約は、日本、アメリカ、イギリスの海軍の補助艦の比率を定めたものです。
首席全権大使は若槻礼次郎元総理が務めました。
雑賀潤外務省情報部長が語り部となって、物語が進行していきます。
雑賀がロンドン海軍軍縮会議に参加する意義を吐露するシーンがあります。
「悲惨な欧州大戦を経てようやくに、国際的な諸問題を武力によってでなく、話し合いで解決しようという機運が世界中で本格的に高まっていた。国際連盟の活動で、数々の軍縮会議の開催などもそのあらわれである。もちろん、そうした努力は緒についたばかりであって、まだ満足のいく成果をあげるにはいたっていないが、人類の歴史において画期的な時代がやってきたことは間違いない。そして、そのような時代に外交官の職についているのは、大いに喜ぶことであるはずだった。」
この想いは、この時代を今日書いた作家・中路啓太さんの想いでもあると読みました。
纐纈さんの講義によると、ワシントン・ロンドン海軍軍縮条約の期限が満了した後、日本は、無制限が建艦競争の時代に突入します。時の内閣が「未曾有の国難が到来する」と提唱する中で、日本は、「英米との対立」と「アジアへの侵略」に足を踏み出すことになるのです。
纐纈さんの言われる「1930年代の再来とも指摘可能な現在の政治や経済」。
現在を「戦前」にさせないために、大いに学ばなければならないと思います。
北朝鮮が6日午前、日本海に向けて弾道ミサイルを発射しました。
日本共産党の志位和夫委員長は、「北朝鮮の行為を厳しく非難し抗議する」と同時に、「今月27日から国連で始まる核兵器禁止条約に関する国際会議の成功がいよいよ重要」と語りました。
外交官の雑賀が言うように「国際的な諸問題を武力によってではなく、話し合いで解決する機運が世界中で本格的に高まっている。」のが、2010年代後半の現在の世界の流れだと思います。
この流れを加速させる中で、北朝鮮の問題を含む国際的な諸問題の解決を図っていく時だと思います。
「温故知新」。平和のために、1930年代を今後とも学んでいきたいと思います。
北朝鮮の問題など皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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