昨日、森義隆さんの映画「聖の青春」を下関で観ました。
「羽生善治を追い詰めた伝説の棋士・村山聖。病と闘いながら全力で駆け抜けた、わずか29年の生涯を描く奇跡の実話」
主人公の村山聖を演じたのは、松山ケンイチさん。体重を20キロ増やし役作りに打ち込みました。
松山さんは、映画のパンフレットのインタビューでこう話しています。
「短い期間でしたけど、灰になるくらい自分の人生を懸けられたのかなと。そういう役に出会えるのは、5年に1回、10年に1回くらいのもの。僕は村山さんを演じて半年以上経つのに、まだ自分自身に戻れない、抜けきれないところがあるんです。なかなか次に進めなくて。リハビリしないといけない。それだけこの役にぶつかれたのだと思います。」
セリフはむしろ少ないのだけれど、病気と闘いながら将棋に命を懸ける村山聖を松山さんは魂で演じ切りました。
羽生善治を演じるのは、東出昌大さん。
将棋は門外漢の私ですが、羽生さんと同時代を生きて来て、テレビや新聞で度々羽生さんの将棋を打つシーンを観てきました。
東出さんが将棋を打つ顔は、ささに羽生さんそのものといった感じでした。
映画のパンフレットで、東出さんが、村山と羽生、二人の関係性について次のように語っています。
「もし『魂』って言葉があるなら、その魂っていうものが、ものすごく近づき合った関係なんじゃないか、将棋の世界は、盤を挟んだらどっちかが負けます。同じくらいの努力をしてきたから、負けるつらさもわかるし、勝つ喜びもわかる。そこに生まれるものって、人生を懸けている、命のやりとりをしている間柄だけに言葉にならない。そういうつながりが、二人にはあると思います。」
最期の羽生と村山の対局シーンは映画の山場です。
盤に命を懸ける二人。勝負がつく瞬間に二人の目が潤んできます。
私も色々な映画を観てきましたが、主役たちのセリフは極めて少ない映画だと思います。
だからこそ映画の真骨頂が発揮された作品だと感じました。
松山ケンイチさんと東出昌大さんの魂の演技が観客に伝わる映画でした。
森義隆監督は映画のパンフレットで次のように語っています。
「僕はとにかく『本当の』瞬間を撮りたかった。だから作為を積み重ねるのではなく。過程を積み重ねようと思いました。自分なりに村山の生きた証を、『どう死ぬか、どう生きるか』を、松山君の肉体を通して見つめ続けよう。結論を安易に出さず、最後まで答えを探しながら撮っていこうと。完成した今、皆さんにどのように観てもらえるのか、とても楽しみです。」
棋士・村山聖の生きた証が映像となった見事な作品です。ぜひ本作を映画館でご覧ください。県内では、下関市と下松市で上映中です。
映画は心を豊かにしてくれますね。皆さんのお薦めの映画をお教え下さい。
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