チャップリンDVDコレクション「キッド」を観ました。
「ほほえみと、恐らくは一粒の涙の物語」という字幕が最初に登場します。
ジャッキー・クーガン演じるキッドと育ての親となるチャップリンとの切なくも愛らしいやり取りが胸を打ちます。
「キッド」は、「困窮を極めて何度も孤児院に入れられたチャップリン自身の、ロンドンでの幼少時代の記憶がもとになっている」と解説書にあります。
「やがて一家が貧民院に入ることを余儀なくされたとき、入口で男女別々の棟に収容され、幼いチャップリンは母との通説な別れを体験した。個人院に連れて行かれそうになったキッドをチャーリーが奪い返すシーンは、その経験に裏打ちされているからこそ胸を突く。」
まさに、孤児院からキッドを奪い返すシーンが、この映画の山場であり、感涙の場面です。
天才子役ジャッキー・クーガンのその後の人生に関して興味深い解説がありました。
「本作で大スターになったジャッキーは、『オリヴァー・トゥイスト』(1922年)など次々と似たような作品に主演するが、やはりチャップリンの演出を離れると魅力が生かされず、子役の宿命か13歳のときに『老後』を迎える。両親は離婚。頼りにしていた父は死んでしまい、母はジャッキーの莫大なギャラを独り占めした。稼いだお金が母との裁判費用に消えて生活に困窮したときは、チャップリンはジャッキーを援助している。ともあれ、この事件をきっかけで、米国で子役の権利を守る法律が制定。いまでも『クーガン法』と呼ばれている。」
ジャッキーのその後の人生そのものが映画のようです。
この映画が封切りされたのが1921年。95年前の映画ですが、4歳のジャッキーの名優ぶりは、今でも私たちの胸を打ちます。
映画の終盤に人々が奪い合うことのない「天国」のシーンが出てきます。
チャーリーの願いが込められた場面だと思います。
人々が手を取り合える社会は、未だに実現していませんが、市民と野党の統一が発展している日本には、その萌芽が見え始めています。
トランプ勝利の背景には、アメリカ社会での格差の深刻な拡大があったと言われています。
チャーリーが求めた格差のない社会の到来を今、世界は求めていると思います。
キッドとチャーリーの愛は、人々が手を取り合える社会を実現するために、観るべき映画だと思いました。
次回作は、「犬の生活」「一日の行楽」です。これも楽しみです。
チャップリンの好きな作品をお教え下さい。
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