元萩市教育長の陽信孝さんの「八重子のハミング」を読んでいます。
陽先生には、12月6日に、西宇部小学校PTAの家庭教育学級の講師として「家族のあり方」と題する講演をいただく予定です。
更に、「八重子のハミング」が原作となり、山口県出身の映画監督・佐々部清さんによる映画「八重子のハミング」が完成し、10月29日より県内での上映が始まります。
「四度のガン手術から生還した夫がアルツハイマー病の妻を介護する」物語です。
文庫の解説で落合惠子さんが、本文から次の箇所を引用しています。
「一生懸命、自分なりに努力して着せてやっているのに、洗ってやっているのになぜ叩くんだ、なぜ引っ掻くんだ。今トイレに連れていったのにどうして漏らすんだと、怒鳴り、叩き、引きずり回したくなることもしばしばである。人間とは弱いものだとしみじみ思う。(略)妻の介護をしてきたことで私が強く心に感じるのは、『優しさ』と『怒り』の限界についてである。人間、怒りには限界があっても、優しさには限界がないということだ。優しさは、後から後から湧き出てくる泉のごときもので、人間が持つ肉体のすべてから醸し出されるものではないだろうか。・・・」
お母さんを介護した落合恵子さんは、この文章の引用した後、こう綴ります。
「この一節を、時々読み返す。そうなのだ。優しさ、愛情と言い換えることも可能なのだが、愛情は、より具体的な形でそれを使えば使うほど、より深く、より多く、からだのどこか深いところから湧き出てくるようなものだ、と母の介護を通して私も実感する。だから、愛情をケチってはいけない、とも。」
八重子さんは、2002年年末に永眠されました。
文庫版の最終章で、陽さんは、「妻は、自分が病気になったことで、私の命を救ってくれたのだと思う。かあさん、命をくれてありがとう。やさしさをありがとう。また逢いに行くよ。」と書いています。
アルツハイマーの問題を生々しく描いたドキュメンタリーとして秀逸な作品でした。
同時に、この作品は、「現在の千恵子抄」とも評される通り、妻への愛情にあふれた優しさに満ちた作品でした。
私たち夫婦も両方が50歳を越えました。この本を読みながら、妻への感謝の気持ちが湧き出てきました。
今月末の映画の上映と、12月、西宇部小学校での、陽先生のお話しを楽しみにしています。
「八重子のハミング」や介護に対する皆さんの想いをお教え下さい。
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