精神科医・香山リカさんの本を初めて読みました。最新刊の「しがみつかない生き方―『ふつうの幸せ』を手に入れる10のルール」を一気に読みました。 とても読みやすい本です。
香山さんの発言を、テレビは新聞などでチラチラと見聞きして、共感できる方とは感じていましたが、初めて本を読んでその気持ちが深まりました。
10のルールとは「恋愛にすべてを捧げない」「自慢・自己PRをしない」「すぐに白黒つけない」「老・病・死で落ち込まない」「すぐに水に流さない」「仕事に夢をもとめない」「子どもにしがみつかない」
「お金にしがみつかない」「生まれた意味を問わない」「<勝間和代>を目指さない」です。
つまり、今の社会は、この10のルールの逆を強く求めているのだということが切々と書かれています。
香山さんは、最後に「人生には最高もなければ、どうしようもなく最悪もなく、ただ、『そこそこで、いろいろな人生』があるだけではないか。だとしたら、目指すモデルや生き方がどれくらい多様か、というのが、その社会が生きやすいかどうか、健全であるかどうかの目安になると言えるはずである」と書いています。
この社会は自由なようで、一定の価値観に占められている面も否めない例として、テレビのことが例に挙げられていました。
テレビの視聴率調査の集計区分で20歳から34歳の女性を「F1層」と呼ぶようです。この層の女性が一番購買力があるとして、スポンサーも付きやすいそうです。
だからテレビ局は、F1層に向けて、この世代が好むタレントを多用した番組を制作するようです。
今頃、パターン化した番組が多いと思うのはそのせいです。
また、香山さんは、小泉・竹中コンビの責任が問われないのはないのはなぜかと厳しく書いています。
「小泉政権時代に地域間格差が広まったことは明らかになっている。性急な医療改革により、救急患者や高齢者を中心に医療難民があふれ返り、医療は崩壊寸前と言われている。また、終身雇用システムが衰退して非正規雇用者が激増、不況突入と同時にその人たちが職を失い、ホームレス化する人まで出ている。しかしその小泉構造改革の責任は、いまだにはっきりした形では問われていない」
香山さんの社会描写についても共感できる点が多くあります。
香山さんは、最後の最後に「ふつうにがんばって、しがみつかずにこだわらずに自分のペースで生きていけば、誰でもそれなりに幸せを感じながら人生を送れる。それで十分、というよりそれ以外の何が必要であろうか」と書いています。
私は、20代後半から30代前半に、精神科医の中沢正夫さんの本をよく読んでいました。
私も40代後半にさしかかろうとしていますが、自分自身が、「自分のペースで生きていけるように」、社会全体がそうなれるように、香山さんの意見に耳を傾けていこうと思います。
皆さん、香山さんの本の感想をお聞かせください。
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