議員日誌

怨みに報いるに徳を以ってせよ

 朝日新聞出版社から「仏教新発見No2」が発売されました。

 瀬戸内寂聴さんの「いま、釈迦のことば」は毎回楽しみにしています。

 今回の釈迦の言葉は「怨みに報いるに怨みをもってすれば、永遠に怨みは尽きることなし。」

 瀬戸内さんは、釈迦のこの言葉をこのように訳されました。

 「怨みをいだいている人々のあいだにあって恨むことなく、われわれは大いに楽しく生きよう。怨みをもっている人々のあいだにあって恨むことなく、われわれは暮らしていこう」

 瀬戸内さんは続けます。

 「中国では、『怨みに報いるに徳を以ってせよ』という教えがあります。私は終戦を北京で迎えたとき、たぶん日本人は皆殺しにされるだろうと脅えていました。ところが、こわごわ門を開けたとき、前の路地の壁一面に貼られた赤い短冊に墨痕鮮やかに『怨みに報いるに徳を以ってせよ』と書かれていました。そのときのショックは七十年経ってもまだありありと記憶に残っています。」

 パリの同時多発テロ事件をきっかけにアメリカ中心の「有志連合」はIS対策を目目にシリアへの空爆などを強化しています。

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙に栗田禎子千葉大教授がこのように述べています。

 「イラク戦争とそれに続く占領は、その後のイラクや中東の大混乱につながりました。ISの中核を成しているのは戦争で打倒された旧フセイン政権の軍・治安関係者です。また、アメリカによるイラク占領の過程で国民を異なる宗派・民族ごとに分断支配する政策がとられ、優遇された宗派と排除された宗派との対立が激化しました。ISが勢力を拡大した背景には、排除された宗派の住民の不安があるともされます。ISは、アメリカ主導のイラク戦争・占領の落とし子なのです。」

 栗田教授はその上で、日本の関わりについてこう語ります。

 「3月に施行が予定されている戦争法によって、日本が中東での紛争に直接参加する可能性が格段に高くなりました。欧米による中東軍事介入の動きが強まっていることを考えれば、日本にとっての急務は一刻も早く戦争法を廃止し、軍事介入に一切加担しないことです。」 

 世界は今こそ怨みの連鎖を断ち切る勇気を持つ時だと思います。

 日本は怨みの連鎖に加担すべきではありません。

 「怨みに報いるに徳を以ってせよ」の言葉に世界は学ぶべき時だと思います。

 瀬戸内さんの「いま、釈迦のことば」を読んでこのようなことを思いました。

 アメリカを中心とした「有志連合」がシリアへの空爆などを強化しようとしています。

 日本はどう対処すべきでしょうか。皆さんのお考えをお教え下さい。

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1件のコメント

  1. 「怨みに報いるに怨みを以ってするな」という釈尊の教えは正しいと思いますし、空爆は中東の一般市民を犠牲にするだけで、テロ問題の解決には有害無益です。しかし、同時に、悪に対して「右の頬を打たれたら左の頬を出せ」と屈服したり、「過去の恨みは水に流す」という処世術もいただけません。暴力や軍事力を用いずに、しかし、悪に対してはキッパリと批判をし続けること,自らの過った過去に反省し続けることは重要ではないでしょうか。言論の力は弱いように見えても、時間がかかるように見えても、それしか悪を克服する手段はありません。その努力を尽くしてもダメで、人類が滅びるのなら、それもしかたがない。そうだとしても、非暴力的言論で最期まで抵抗し続けようではありませんか。

    by Tetu Makino — 2015年12月29日 23:09 PM

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