2021年7月に、山口県教育委員会は、「山口県学校における働き方改革加速化プラン(改訂版)」(以下、改訂版)を発表しました。
私は、県教委に改訂版の達成状況について照会し、この程、回答が示されましたので報告します。
2018年3月の当初の加速化プランの目標は、「2017年度からの3年間で、教員の時間外業務時間を30%削減する」というものでした。
2020年度の平均時間外業務時間と2017年度比での削減率は次の通りです。
小学校37.6時間、7.9% 中学校45.9時間、19.0% 県立学校29.8時間、31.5%
2023年4月~8月の平均時間外業務時間と2017年度比での削減率は次の通りです。
小学校36.5時間、10.4% 中学校44.9時間、20.1% 県立学校34.2時間、21.6%
2023年度(4月~8月)を見ると、小学校と中学校の平均時間外業務時間は、微減していますが、達成率30%には到達していません。
県立高校の平均時間外業務時間は、2020年度は目標の30%を超えていたのに、2023年度(4月~8月)の数字は、2020年度より平均時間外業務時間が増え、削減率が2割台に減少しました。
改訂版では、「時間外在校等時間の上限方針の遵守(月45時間、年360時間を超える教員の割合を
%に近づける」としました。
2020年度の時間外在校等時間が月45時間超、年360時間超を超える人数の割合をみます。
小学校、月45時間超34.5%、年360時間超66.6%
中学校、月45時間超46.4%、年360時間超77.3%
県立学校、月45時間超22.1%、年360時間超40.2%
2023年度(4月~8月)を見てみます。
小学校、月45時間超35.3%、年360時間超64.5%
中学校、月45時間超45.7%、年360時間超75.7%
県立学校、月45時間超27.4%、年360時間超45.3%
2020年度の数値より2023年度の数値が増えているものが以下の通りです。
小学校の月45時間超の割合、県立学校の月45時間超の割合、県立学校の年360時間超の割合。
2023年度の数字を見ても、年360時間超で働いている人が、小学校、中学校半数以上いることは「割合を0%に近づける」目標からの乖離は甚大です。
昨年10月に県教委は2023年度から2027年度の「山口県教育振興基本計画」を発表しました。
推進指標の一つが、「教員の1か月当たりの時間外在校等時間の平均」です。
現状値は、2022年度のもので、小学校38.4時間、中学校47.0時間、県立学校33.0時間。
これを2027年度に、30時間にするというものです。
2020年の教員の1か月当たりの時間外在校等時間の平均の数値より、2022年度の数値が、小学校、中学校、県立学校ともに増えている状況にあるものを、2027年度までに30時間に下げる目標を達成するのは、至難の業です。
私は、これら数値を見て、正規職員を抜本的に増やす努力を強めていくことの重要性を痛感しました。
現行の「学校の働き方改革加速化プラン(改訂版)」は今年度末が期限です。
私の「新しい改訂版を公表する時期と内容」を問う照会に次のように答えました。
「プランの改訂については、『山口県教育振興基本計画』に新たなに示した推進指標の目標達成に向け、時間外在校時間等時間や取組の状況、国の施策等の視点を踏まえ、取組の柱や具体的な取組等の整理・検討を行っているところであり、今年度中に公表を考えている。」
私は、プランの改訂にあたっては、小中学校で、年360時間超の職員が過半数以上という状況を直視、この状況を改善する実効ある計画づくりを県教委に強く求めたいと思います。
同時に、計画を達成できる正規職員を抜本的に増やすことを県教委に強く求めたいと思います。
更に、奈良県教委では、メンタルヘルス対策の窓口である推進室を設置したことを学びました。山口県でもプラン改訂と併せて、奈良県同様の窓口設置を強く求めたいと思います。
教員の働き方改革に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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