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今年のアカデミー賞作品賞「コーダ あいのうた」を観ました。

 今年のアカデミー賞は、日本の映画「ドライブ・マイ・カー」が国際映画賞を受賞したことが大きな話題になりました。
 作品賞は、「コーダ あいのうた」でした。宇部市の映画館で上映しているので、昨日、観ました。
 映画の後半は、涙、涙。悲観の涙ではなく、希望の涙でした。
 「CODA」とは、「Child of Deaf Adults」の略語で、ろう者の親を持つこどもという意味です。
 主人公の高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で、ひとりだけ耳が聞こえます。
 映画のパンフレットで、自らもコーダだというライターの五十嵐さんがこう書いています。
 「コーダは幼い頃から『通訳』を担わされることが多い。ルビーも病院や競りの場面で、親に付き添い、代わりに大人とやり取りしている。その姿を『親を支える立派な子ども』と見なし、美談や感動秘話として消費することもできる。けれど、本当にそれでいいのだろうか。本作ではその問いかけに一歩踏み込み、ルビーに胸の内を語らせている。〈私はただの通訳〉〈私は・・・生まれてずっと通訳の役目を〉〈もう疲れたわ〉端的なこのルビーのセリフには、幼い頃から抱えてきた彼女の苦しみが滲んでいる。」
 コーダは、日本国内では、2万2千人ほどいると推察されると五十嵐さん。今日、注目されているヤングケアラーにコーダの一部は含まれるのではないかと思いました。
 両親と兄を演じた俳優は全てろう者の方が演じました。
 アカデミー賞助演男優賞を受賞した父親役トロイ・コッツァーさんは、こう語ります。
 「私は熱狂的な映画ファンですが、めったに映画の中で手話を観たことがありません。すごく稀なんです。映画にもっと多くのろう者が登場したらうれしいですね。それに、これまでは健聴者の俳優にろう者を演じさせてきました。手話を知らない健聴者は、役を演じることがでいても手話がめちゃくちゃ下手なんです。これをきっかけに、いくつかの扉が開かれて、みんながもっと偏見のない心が持てるようになればいいなと思います。」
 監督のシアン・ヘダーさんはこう語ります。
 「CODAと話してわかったことは、彼らは親に伝達しなければならない状況に追い込まれることで、あっという間に人一倍多くの大人の事情のなかに身を置いてしまうのです。」
 ルビーを演じたエミリア・ジョーンズさんは、見事にルビーを演じきっていました。
 物語は、「ルビーの夢である歌を歌うことをろう者である家族にどう理解させるか」に焦点が当たります。
 その過程を観て、観客は涙します。悲観ではなく希望の涙を。
 是非、「コーダ あいのうた」を劇場でご覧ください。
 今年のアカデミー賞作品賞です。最高の映画を劇場で。
 「コーダ あいのうた」をご覧になった皆さん、感想をお聞かせ下さい。

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