22日、朝日系で放送されたスペシャルドラマ「乱反射」を観ました。
22日付しんぶん赤旗日刊紙の「試写室」よりライターの岡崎武志さんの記事を引用します。
「風の強い日、街路樹が倒れ、乳母車が倒れ、乳母車を押していた母子を直撃。幼児は死に、呆然とする母・光恵。何も知らず取材現場に向かった新聞記者・加山聡は、自分が被害者の父と知る。事故で処理された背景を調べる加山の前に、我が『小さな罪』を認めず、隠す、平凡な人たち。無責任の連鎖が、幼い命を奪った。」
原作は、貫井徳郎さんの同名小説です。
貫井さんは小説の冒頭でこう書いています。
「一見不運な事故にしか見えない幼児の死は、実は殺人だった。それも大勢の人間が寄ってたかって無辜の幼児を殺したという、異常極まりない事件であった。にもかかわらず、幼児の死の異常性には誰も気づかず、現場となった地点には誰が手向けたとも知れない花だけが置かれている。犯人たちは今日も、己が死に追いやった幼児のことなど忘れ果て、平凡な日常の中を生きている。」
この小説は、犯人のいない殺人事件を描いたミステリーと言えます。
新潮社は、「新潮45」を休刊すると発表しました。
同誌の8月号では、LGBT(性的少数者)には「生産性がない」などとする杉田水脈自民党衆議院議員の論文を掲載し、10月号でさらに擁護する特集を組みました。
21日、新潮社は、社長声明で「常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」があったとし、休刊にあたってのコメントで、そうした表現を掲載する事態を招いたことについて「お詫び致します」としました。
今朝の毎日新聞で、「新潮45」休刊に対して、出版ニュース社の清田義昭代表が次のようなコメントをしていました。
「今回の休刊は、ヘイト的な表現を許すような世の中ではなくなってきていることを示している」
私は、昨今のLGBT(性的少数者)の方々を傷つける発言が繰り返される問題は、「乱反射」が描こうとした社会の構図と通底するものがあると思います。
「犯人たちは、己が死に追いやった幼児のことなど忘れ果て、平凡な日常の中を生きている。」
ヘイト発言を繰り返す人を見守る私たちの姿勢が問われていると思います。
毎日新聞の記事で清田さんが言われるように「ヘイト的な表現を許すような世の中ではなくなってきている」ことを私たちは大いに示す時だと思います。
改めて、私が尊敬する藤井克徳さんの「障害者をしめ出す社会は弱くもろい」という言葉を想起しました。
「乱反射」は多くの事を教えてくれます。貫井徳郎さんの同名小説を引き続き読み進めようと思います。
今、小説の3分の1程読みましたが、これだけ、年代の生い立ちもバラバラの人たちを生き生きと描き分ける貫井さんの筆力の強さ高さに感心しています。
貫井ファンの皆さん、お勧めの作品をお教え下さい。
また、「新潮45」休刊についての感想をお聞かせ下さい。
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