議員日誌

あなた自身の社会

 スウェーデンの中学教科書「あなた自身の社会」を読んでいます。

 今の子どもたちの教科書を十分読み込んでいる訳ではありませんが、日本の教科書は知識を教える傾向がある一方、スウェーデンの教科書は、生きる力を教えるものであると感じました。

 訳者である川上邦夫さんは、「訳者まえがき」で「あなた自身の社会」の特徴を6点挙げています。

 第1点と第4と第5を紹介します。

 「第一、『実社会への手引き』となっている。—子どもたちが、日常の社会生活を賢く、安全に送るために、いましっているべき事項、近い将来において必要となってくる事項がきちんと説明されています。題材の選択と記述には、子どもの視点が貫かれています。」

 「第4、子どもたち自分自身の意見をもつことを徹底して奨励している。-『課題』として用意されている170余の質問がそれです。『君自身はどう思うか、友達の意見と比較しよう、みんなで討論しよう』が基本的な問い方です。その一方、これが模範解答だというものは、ほとんどの場合与えられていません。」

 「第5、社会は自分たちの手で変革できることを教えている。-社会を動かしているあらゆる制度や規則は、異なった見解をもつ人々の妥協の結果として存在している。もし、より多くの支持者を獲得できるなら、それらを変えることが可能になる。もし、より多くの支持者を獲得できるなら、それを変えることが可能になる。この可能性を強調することを通じて、子どもたちには、社会は彼ら自らがつくり変えていくものであるとのメッセージを伝えています。スウェーデン文部省が発行した『1994年学習指導要領の概要』には、学校の任務は『生徒に、将来を築くという困難な事業への楽観的な展望を与えること』とありますが、これはその目的に沿うものと言えましょう。」

 「生徒に、将来を築くという困難な事業への楽観的な展望を与える」はいい言葉です。

 コミューン(行政機関)に対しても詳しい記述があり、次のようなくだりがあります。

 「私たちの国には、政治家不信があると人々は言います。われわれ普通の国民—影響力がない。彼ら権力者—頭越しに物事を決定する。また人々は、政治家とは、一般の人々の言うことを聞く意思と能力を欠いた大物だとも言います。確かに、そういう政治家がいるのです。しかし、政治家は議会に出て議決に加わるけれども、みんなの要望を満足させることはめったにない、というのは言いすぎでしょう。政治家のほとんどは、自らの行動に責任をもち、彼らを選出した有権者に敬意を示します。彼らは、任期がわずか4年しかないことをよく知っているのです。」

 政治家を理解するためのすばらしい文章だと思います。

 昨日、「働き方」法案が衆院厚生労働委員会で強行採決されました。

 まさしく、「政治家とは一般の人々の言うことを聞く意思と能力を欠いた大物」だと思われる事態です。

 過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は「こんな暴挙は許さない。決してあきらめることなく、成立させないよう力を尽くす」と述べました。

 「政治家のほとんどは、自らの行動に責任をもち、彼らを選出した有権者に敬意を示します。」

 政治家は有権者から選ばれた存在です。

 政治家が有権者の声を聞く国会になるよう、国民の意思を国会に示すときだと思います。

 社会は自分たちの手で変革できることを子どもたちに示す時ではないでしょうか。

 「働き方改革」法案の廃案をめざして力を尽くしましょう。

 引き続き、スウェーデンの中学教科書「あなた自身の社会」からしっかり学んでいきたいと思います。

 あなたは、昨日の「働き方改革」法案の強行をどうお考えですか。

 ご意見をお聞かせ下さい。

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