議員日誌

「三悪趣」からの解放

 念仏者9条の会編で2010年に刊行された「『三悪趣』からの解放-憲法9条・20条の持つ意味」を読みました。

 念仏者9条の会は、戦後60年の2005年に発足しました。

 先日亡くなられた初代の世話人代表であった信楽峻麿さんが冒頭で、「今日の本願寺教団が、宗教的にこれほどまでに凋落した原因はどこにあるのか。それについてはいろいろ要因が考えられる。現代の社会が過疎化、世俗化したことも大きな原因であろう。しかし私は、この本願寺教団がかつてのアジア・太平洋戦争において、全面的に協力したことに最大の原因があると考える。本願寺教団は、この戦争がはじまるやいなや、仏教徒は正義のためには戦争をしてもよいといい、この戦争を聖戦といって全面的に賛成した。そして門主は、『念仏の声高らかに各々その職務に挺身し、あくまで驕敵撃滅に突進すべし』と教示し、真宗学者たちは、阿弥陀仏と天皇は同じである。親鸞の自然法爾とは日本の神ながらの道のことである。天皇の命令に背くものは往生できない。真宗の教えは『教育勅語』におさまる、などといいたてた。」「もしも本願寺教団が、このような教言をまっとうに受けとめて、かつての戦争に際してその反対を表明していたならば、そのことは当時の状況の中では、最後まで貫徹できなかったとしても、戦後の真宗信者、そして一般の大衆は、そのことを通して、仏法、そして親鸞の真実性に深く認識し、また本願寺教団の存在意義を高く評価して、この真宗の教えに心から敬意を評したことであろう。そしてまた、本願寺教団の戦後の歴史は、それによって大きく変わったにちがいない。」と書いています。信楽先生の諫言を本願寺教団並びに私たち関係者は深く耳を傾けなければならない今だと思います。

 表題である「『三悪趣』からの解放」の意味について、大谷派僧侶の根津茂さんの小論から引用します。

 「『三悪趣』とは『地獄、餓鬼、畜生』の世界です。戦争と殺戮は地極道の最たるものでしょう。貧困や飢餓など生活苦は餓鬼道です。世界の発展途上国の状況であるのみならず、この日本において、差別が拡大し、富めるものがますます富む中で、ワーキングプアの人たちや派遣切りになった人など、その日の糧すらない人が続出している状況は、まさに餓鬼道といえます。では、畜生道とは何でしょうか。他者の存在を認めず、抑圧している状態、つまり人間性が見失われている社会が畜生道であると思います。企業の都合でいつでも解雇されるような現在の雇用状況や、サービス残業や労働強化で、多くの人々が人間らしく働くことができないこのごろです。私たちは今、畜生道を生きています。『地獄、餓鬼、畜生』の『三悪趣』は、私たちの生きる現実と、人類の歴史そのものなのです。」

 根津さんは、憲法前文の「われらは、平和を維持し、先制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」を引用し次のように書いています。

 「これは、地獄、餓鬼、畜生なき、『無三悪趣の世』を選んだことであるとともに、わが国だけではなく全世界が、『無三悪趣の世』になってほしいと願っています。」と書いています。

 本願寺派布教使の吉岡隆義さんの小論には多くの示唆をいただきました。

 一番、示唆をいただいたのは、「なぜ、人を殺してはならないのか」という部分です。

 「『私の命は、私に貴族しているのであって、他の何物にも帰属するものではない』という大原則です。従って他者によって奪われてはならないということです。他者とは私以外の何者かです。その他者は軍隊であるかもしれません。国家もまた他者ですから『あなたの命を出せ』『他者の命を奪え』という戦争には加担できないのです。もちろん自らが権力者と結託して、他者の命を奪わせてはならないのです。」

 私は、50数年の人生の中で、「なぜ人を殺してはならないのか」の問いに対する答えとしてこれほど納得する答えに出会ったことはありません。

 私のこれまでの経験の裏打ちも当然あるのでしょう。吉岡先生の意見に同感です。

 皆が「私の命は、私に帰属しているのであって、他の何者にも帰属するものではない」と思える社会の実現のために力を尽くしたいと思いました。

 この社会の実現のために、安倍政権による憲法9条の改悪を許してはならないことを実感しました。

 これからも念仏者9条の会の会員の一人として大いに学び実践していきたいと思います。

 安倍9条改憲を皆さんはどうお考えですか。

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