議員日誌

暗幕のゲルニカ

 5月22日付しんぶん赤旗「日曜版」に作家の原田マハさんへのインタビュー記事が掲載されていました。

 原田マハさんは、最近「暗幕のゲルニカ」という本を上梓しました。

 戦争とファシズムへの怒りが表された、ピカソの名画「ゲルニカ」を軸にしたサスペンスです。

 1930年代後半、ドイツ、イタリアのファシスト政権に呼応しスペインでフランコ将軍が蜂起。反乱軍と共和国軍との内戦になります。37年、スペイン北部の古都ゲルニカをヒトラーとムソリーニの空軍が空爆。世界に衝撃を与えます。スペインで生まれ、パリで活躍していたピカソはこの事件をもとに「ゲルニカ」を描きました。

 21世紀のいま、なぜ「ゲルニカ」なのかの問いに原田マハさんは答えます。

 「『ゲルニカ』のメッセージ性は、古びない。それは人類が愚かなたたかいを繰り返しているということが、残念ながら変わっていないからです。パリの連続テロ事件もありましたけれど、人間が人間を苦しめている。国益や富や『イデオロギー』のために殺し合う生物なんて、すべての種のなかで人間だけです。こんな愚かな人類を痛烈に批判しながら、ピカソは一方でこういう世の中が変わってほしいという願いをこの作品に込めたのだと思う。いまのこの不穏な世の中にあって、もう一度『ゲルニカ』の意味を見つめ直してもらいたいという思いがありました。自分たちの行為を反省し、反戦・平和についてしっかり考える。こんな時代だからこそ、『ゲルニカ』をもう一度。そんな思いで書きました。」

 「ピカソは戦後、作品を通して反戦・平和を訴えることを続けました。自分の作品で訴えるべきときには訴えるということをやった人です。第二次世界大戦後には朝鮮戦争への批判を込めた作品も描いています。49年にパリで開かれた『国際平和擁護会議』では、白いハトのリトグラフ(版画)を作り、そのポスターがパリの街中にはられました。いま、ハトは平和のシンボルだといわれますが、それは実はピカソが起点になっているんです。鳥一羽で平和を象徴するなんて本当に天才的です。こういう人を、私は小説のなかで、自分の筆じゃなくキーボードですけど(笑い)。あこがれの人をついに、という感じですが、とても御せる相手ではなかった。一生かけて追いかける相手です。とにかくいったん、ここで書けてよかった」

 私も10代の一時期は将来、絵に関わる仕事をしたいと考えていました。

 当然、ピカソとその作品「ゲルニカ」は知っていました。

 「ゲルニカ」についても漠然と反戦を訴える作品だろうことは知っていましたが、このインタビューを通じて、とてもピカソと原田マハさんの興味を持ちました。

 書店で原田さんの名前は最近よく目にしていましたが、手に取ることはありませんでしたが、このインタビューを読んで、「暗幕のゲルニカ」を手にして、数日前から読んでいます。

 物語は二段構え。ピカソの恋人・ドラの視点から描かれている20世紀のパリの話と、21世紀のアメリカでピカソ展の開催をめざす学芸員・瑤子の話が交互に展開します。

 ピカソがどのような過程で「ゲルニカ」を制作したのか、ドラとともに現場に立ち会うように描かれ、名画の誕生と当時の反応が伝わります。

 21世紀の章では、「9.11」のテロで夫を亡くした瑤子が、悲しみに打ちひしがれそうになりながらも「ピカソの戦争 ゲルニアによる抗議と抵抗」展の開催に尽力する姿が描かれます。

 巻頭にピカソの言葉「芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。」が書かれています。

 この物語を読みながらピカソのこの言葉の意味を感じています。

 時同じく、沖縄で米軍関係者が地元住民を暴行する事件が発生しました。

 時同じく、オバマ米大統領が被爆地・広島を訪問します。

 世界の平和が一歩づつでも構築されることを願うばかりです。

 21世紀を生きる私たちは、ピカソの遺志を受け継き、平和を築くためにすべきことを考え実行していきましょう。

 原田マハさん、すばらしい作品をありがとうございます。

 マハファンの皆さん、お勧めの作品をお教え下さい。

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