議員日誌

生活保護問題学習会に参加

 昨日、山口県保険医協会主催の生活保護問題の学習会に参加しました。

 

 昨日、山口市内で行われた生活保護問題の学習会

 講師は、京都市で生活保護のケースワーカーを長年勤めた経験のある花園大学の吉永教授でした。演題は、「いま生活保護はどうなっているのか~引き下げと引き締めの改革案」でした。

 この10年間で生活保護世帯が大きく増えていますが、約4割は、高齢者世帯です。

 吉永教授は、「年金月額4万9555円の国民が約1090万人いる」というデータを明らかにしました。

 高齢者世帯で、生活保護を受けているのは、約68万人ですから生活保護基準以下で暮らす高齢者世帯が大多数で存在することが分かります。

 吉永教授は、06年北九州市餓死事件などを取り上げ、「扶養の強化は餓死を増やす」と指摘しました。

 そして吉永教授は、政府が進めている改革案の中身として、「生活扶助費を7.3%と過去最大の引き下げ」が最大の特徴と強調しました。

 日本は、貧困水準未満の世帯中の保護利用世帯(捕捉率)がOECD諸国の中で最低の18%です。先程の高齢者世帯の例でも指摘した通り、生活保護基準以下で暮らしている国民は多数います。

 吉永教授は「捕捉率が2割程度のもとで、下位10%と比較して生活保護基準が高くなるのは当然」と指摘しました。

 その生活保護基準を下げれば、最低賃金や年金などにも悪影響が出ます。

 そればかりではなく、課税世帯が増えることにつながります。「そうなれば、各種福祉サービスの利用料が増える世帯が広がることを意味する。」と吉永教授は強調しました。

 吉永教授は、駒村康平氏の著書「最低所得保障」から引用し「生活保護基準は全ての最低生活保障を下支えするために、安易に水準を引き下げることができない岩盤」だと指摘し、その基準を安易に引き下げようとする政府の姿勢を厳しく批判しました。

 更に、吉永教授は、「アベノミクスにより物価が2%上昇し、保護基準が7.3%削減されれば、実質10%程度の削減になる」と述べました。

 政府は、申請書による保護申請とするような制度改悪を進めています。

 吉永教授は、昨年9月の毎日新聞から自治体現場担当者の「国が『厳格化』にお墨付きを与えた意味は大きい。餓死者が出ても自治体が矢面に立たず、国の責任に出来る」という声を引用し、「このような実態にしていいのか」と参加者に問いかけました。

 吉永教授は、医療扶助に対し、政府内で自己負担導入など削減案が検討されていることに対して、1956年11月社会保障制度審議会「医療保障制度に関する勧告」を引用しました。

 「いかに財政上の困難があるとしても、医療保障制度が社会保障制度の一環である限り、生命尊重の本義はこれを忘れてはならない。その意味において、当事者の拠出を前提とする医療保険であっても、また、単に一方的に公費によって賄われる医療扶助であってもいやしくもそれが医療である限り、その内容が異なってはならない」

 安倍政権の元で、解雇の自由化も検討されている事実とあわせるならば、格差と貧困は拡大する方向です。

 その中で、生活保護改悪を強行すれば、この国はどうなってしまうのか甚だ心配です。

 政府は、今、この国の岩盤を壊す時ではないことを痛感する学習会でした。

 学習会では最後に山口県保険医協会の理事会で採択された声明が紹介されました。

 声明は、①生活保護基準を引き下げないこと②医療扶助への一部負担を導入しないこと。③地方自治体の生活保護指定医療機関に対する「調査・指導権限の強化」や「指定要件等の見直し」を行わないことを挙げています。

 この声明は、政府など関係機関に届けられたそうです。

 

 私は、昨日、学んだことを来る6月県議会に反映していきたいと思っています。

 吉永先生ありがとうございました。

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