月別アーカイブ:2012年6月

第三回山口昔話大学に参加

 今日・明日は、第三回山口昔話大学に妻と一緒に出席します。

 今日も、昔話研究の第一人者である小澤俊夫さんから、直接、講義を受けました。

 特に、小澤さんの自著「昔話の語法」についてご本人から直接、講義を受けることができることは格別です。

 今日は、「マックス・リュティの様式理論」に関し、「抽象的様式」について学びました。

 昔話研究の世界的権威であるスイスのルティは、昔話には抽象的様式構成があるとして、「この抽象的様式構成は貧困でも無能力でもなくて、高い計精力なのである。」と述べています。

 小澤さんは自著の中で、「文学においても感情移入原理に立つ文学が圧倒的に多いなかで、口伝えの昔話は正反対に抽象的原理によって成り立っていることをつきとめたのは、マックス・リュティの偉大な功績」と述べ、「抽象的な様式をもって語られる昔話こそが、耳にここちよく、子どもの心のなかに深くはいっていくもの」とも述べています。

 小澤さんは、昔話と児童文学の違いを言及しました。

 昔話は数百年の歴史を抱える一方、児童文学は、近代文学の一分野であるのが特徴であると述べました。

 また、昔話は、抽象的な文芸である一方、児童文学は、写実的な文芸であり、文学としての性質が違うと述べました。

 その上で、昔話のモチーフを使った作品は、あくまでも児童文学であり、昔話ではないことを強調しました。

 更に、小澤さんは、ラムサール条約で守られる湿地と昔話の共通点は、①昔から存在する②個人が作ったものでないものが多い③一定の条件があったから生き延びた④それなりの美しさがある⑤心の安らぎを得ることができるもの、だと語りました。

 その上で、違いについて「昔話は見えないものであることが最大の違いである。見えないから昔話の特徴を壊し、児童文学にしてしまう傾向がある」と語りました。

 昔話は、庶民の貧困などによる未熟な文学ではなく、抽象的様式を持った文学であるという理論に私も大いに納得しました。

 明日の講義も楽しみです。妻と二人、一つの事を学ぶことも大切なことだと思います。

 全国の昔話研究の諸先輩方、様々なご示唆をお願いいたします。

磁気ループ搭載バスに試乗しました

 本日、磁気ループが搭載されたバスが導入されている宇部市交通局で、導入バスに乗車し、関係者から様々なご意見をお聞きしました。

 磁気ループとは、音声信号を電気信号としてループに送ることで磁気を発生させ、それを磁気誘導コイルつき補聴器あるいは受信機で受信するシステムです。雑音の少ないきれいな音を聴くことが出来ます。この磁気ループは、ホールなどで導入が進められ、最近、車搭載補聴器誘導システムが開発され、山口県では全国に先駆けて3台導入されています。その内2台は萩市。1台は宇部市交通局で導入されました。

 今日は、宇部市交通局で、関係者から説明を受けました。

 宇部市交通局で磁気ループについて説明を受ける

 説明は、宇部市交通局と磁気ループを開発したソナールという会社と小型低床バスを提供している日野自動車の関係社から受けました。

 宇部市交通局では、西ヶ丘・日赤線に磁気ループが導入された車両を運行させています。磁気ループシステムは、開発中ということもあり、無償で提供されましたが、30万円程度の取付費がかかったとのことです。

 バス購入は、国と県から1500万円の補助を受けたそうです。

 私が住んでいる地域の路線を走っていたのですが、私も、磁気ループ搭載車だと知りませんでした。

 地域住民の方も知らないと思います。

 宇部市交通局の担当者は、「難聴者や高齢者などに試乗してもらう場を設けるなど周知を図りたい」「新規車両購入時には、磁気ループ搭載車にするかどうか検討したい」と答えました。

 日野自動車の関係者は、「料金箱などは、自動車取得税の非課税措置がある。この磁気ループシステムも、非課税となるような対応が必要ではないか」と話しました。

 ソナールの関係者は、「車両購入時に国からの補助がでるようなシステムになるよう、国に働きかけを行っている」と話しました。

 国や県の財政支援によって、磁気ループ搭載のバスが山口県で増えるよう、私も必要な働きかけを強めていこうと思いました。

 実際に、乗車し、受信機で試してみました。

 バスの中でも様々な説明を受けました。

 運転席横のアンプの設定が不十分で、最初は上手く聞こえませんでしたが、開発会社の方の再調整で、社内アナウンスや運転手さんの声がクリアーに聴こえてきました。

 また、このバスに、磁気ループが搭載されていることが、車内に表示されていましたが、あまり目立たないようでした。

 磁気ループシステムの機能が発揮され、難聴者などの生活環境を向上させるよう、運転手さんへの指導と広報活動が重要だと感じました。

 ソナールの関係者は、「維新陸上競技場のスタジアムなどにも磁気ループが導入されている」と話しました。

 新しくできる施設や、難聴者や高齢者の方が利用する施設に磁気ループシステムが数多く導入されるよう、関係機関に必要な働きかけを行っていこうと思いました。

 百聞は一見にしかず。今日は、磁気ループを自分の耳で試すことが出来て、システムの有用性を実感しました。

 県内で磁気ループ搭載車が広がる必要性を実感しました。 

 難聴者のバリアが解消されるよう引き続き、調査・発言を続けていこうと思います。

 磁気ループシステムをはじめ難聴福祉に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。