本日、6月定例議会が閉幕しました。
今議会は、原発議会だったと言っていいと思います。
本会議の最後に、「原子力発電所の安全対策の強化等を求める意見書案」が提案され、全会一致で可決しました。
私は、付託された議案及び請願に対する討論を行いました。
今回は、少し長いものになりましたが、以下の通りです。
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日本共産党県議団を代表して、今議会に付託された議案及び請願に対する討論を行います。
本会議に上程された議案7件、全てに賛成いたします。
このうち、議案2号地域の自主性及び自立性を高めるために改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例について意見を述べます。
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の趣旨は、「義務付け・枠づけ見直し」と基礎自治体への権限移譲です。「義務付け・枠付け見直し」とは、自治事務のうち条例で自主的に定める余地が認められていないものを、①施設・公物設置管理の基準、②協議、同意、許可、認可、承認、③計画等の策定及びその手続き、に分類して、「自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図る」ために見直すものです。
この法律から、「地域主権改革」という文言は削除されましたが、内容は、自公政権が進めてきた「国と地方がお互いに関与・依存しあう仕組みを改め、『自助と自律の精神』のもとで、各自治体が自らの判断と財源で、行政サービスや地域づくりに取り組める仕組みに是正する必要がある」とする「地方分権改革」を踏襲するものです。
具体的には、福祉・教育分野などで、ナショナルミニマムを保障する国の責任が投げ捨てられる危険性をはらんでいます。保育所や高齢者、障害者施設の人員配置基準、居室面積基準、人権に直結する運営基準等については「従うべき基準」とされていますが、その他の施設・設備・運営基準については「参酌すべき基準」とされ、基本的には地方自治体の判断で決めることが可能となります。例えば、障害者施設の居室定員や保育所における避難階段の上乗せ基準なども、地方の判断とされることで引き下げられかねません。さらに、大気汚染や自動車NOx・PMの削減目標・達成方途の策定に関する国の同意の廃止など、環境改善の後退にもつながりかねない内容もふくまれています。
本議会に提案された条例は、条文の整理に限定されているため、反対はしませんが、今後、この法律の具体化の中で、県民の命と暮らしが後退させられることがないよう警鐘を鳴らしておきたいと思います。
次に請願について述べます。
請願1号「政務調査費の東日本大震災義援金への充当に関することについて」を不採択とすることに賛成します。
山口県議会は3月16日、東日本大震災によって大きな人的被害をこうむった岩手、宮城、福島、茨城、千葉の5県に50万円ずつ、計250万円の見舞金を送りました。
地方自治法100条の14に「その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる」とあります。つまり、政務調査費は、
議員の調査研究に資するための必要な経費以外に使用することは出来ません。
政務調査費は貴重な県民の税金であり、その使途は県民の理解と納得が得られるものでなければなりません。今後、山口県議会においても、さらに透明性を高める努力を積み重ねるべきであることを指摘しておきます。
請願第2号「愛宕山開発跡地の『東日本大震災被災者用集団移転用地』への活用に関することについて」を不採択とすることに反対します。
2プラス2を受けて、防衛省は、「岩国へ空母艦載機部隊の移転を2014年までに完了させることに変更はない」と県に説明しました。普天間基地の解決の見通しがないまま、艦載機部隊の岩国移転は認められません。また、空母艦載機部隊の岩国移転の見通しがないまま、米軍家族住宅の愛宕山開発跡地への建設は認められません。
知事は、秋までには愛宕山売却問題での見通しを明らかにするとし、私の質問に対して、「国への売却だけではなく、ウイングを広げて検討していく」と述べられました。
今後、愛宕山売却のウイングの中に、「東日本大震災被災者用集団移転用地」を入れ、この立場で国へ折衝されるよう要望します。
請願3号「山口県議会及び議員と県民との信頼回復を求めることについて」を不採択とすることに反対します。総務政策委員会では、4対4の可否同数となり、委員長裁決で不採択としました。
県監査委員は、7月1日、柳居俊学県議が政務調査費を不正受給していたとして事実確認などを求める住民監査請求を「事実はなく主張に理由はない」として棄却しました。
しかし、この問題は、解決に至っていません。請願にあるように、柳居俊学氏らについて①公職選挙法違反②政治資金規正法違反③詐欺罪等を理由に、山口地方検察庁及び山口県警に告発され、県警での捜査が続いています。
また、岩国市の住民グループからこの問題で新たな住民監査請求が県監査委員に提出されたところです。
県民との信頼回復のために、県議会として事件の真相究明を図ることは当然です。日本共産党県議団は改めて、今回の事案に関する全員協議会の開催を強く求めるものです。
請願4号「上関原発建設中止を求めることについて」です。本請願を不採択にすることに反対します。
今議会の論戦を通じて、原発の「安全神話」が崩れたことは、党派を問わず、共通の認識となりました。わが党は、世界でも有数の地震、津波国である日本において「安全な原発」はありえず、使用済み核燃料など高レベル放射能廃棄物の処理の方法もない原発の建設は決して容認できません。原発から撤退し、自然エネルギーの本格導入をすすめる政治決断が求められています。よって、本請願は採択されるべきものです。
請願6号「教育基本法・学習指導要領等の目標を達成するため最も適した教科書の採択について」を採択することに反対します。
この請願は、「新しい歴史教科書をつくる会」が提出されたものです。
同会は、自由社発行の「新しい歴史教科書」を編集した団体です。太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、アジア解放のたたかいだったと美化するとともに、公民教科書では九条否定の軍備強化や「安全神話」が崩れた原発推進を大きく打ち出しています。
請願は、改悪された教育基本法に基づく、「最も適切と思われる教科書」の採択を要望していますが、「つくる会」の教科書の県内採択に道を開こうとする狙いがあることは明白です。教科書採択に請願などで影響を与えるのは、教育行政への介入であり、教科書採択の公平性を損なうものです。私たちは、本請願の不採択を強く望みます。
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今回も様々なドラマのあった議会となりました。引き続き、県政全般に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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