昨年12月7日付 しんぶん赤旗日曜版に、次のようなジャーナリストの青木理さんのインタビュー記事が掲載されています。
「ジャーナリストの青木理さんが、退廃する権力とメディアに斬り込んだ新著『闇の奥』(河出書房新社)を出しました。自民・維新連立の高市早苗政権、メディアの状況をどう捉えているかを聞きました。ーいまの日本の政治を見ていると、根幹の部分が一層深刻に根腐れしてはいないかと、絶望的な気持ちになります。石破茂前首相を評価する声もあるようですが、防衛にせよ安保政策にせよ、従来の政治観でいえば『右派』に類すべき政治家です。ところが自民党と維新の会が『連立』して高市政権ができた今となっては、確かに石破氏がまともに見えてしまうところがある。それは自維連立が『極右』の色彩を帯び、あまりに『異形』だからでしょう。『憲政史上初の女性首相』は歓迎すべきにせよ、単純に喜ぶ気にはなれるはずもなく、実際に選択的夫婦別姓制といった政策は完全に後ろ向きです。しかも連立政権合意では『スパイ防止法制定』『憲法9条改正』『緊急事態条項』『安保3文書改定』『長射程ミサイルの整備』などの言葉が並んでいる。加えて武器輸出を『成長戦略』に位置づけ、非核三原則まで『見直し』、情報機関を創るという。戦後日本がなぜ大規模な情報機関を持たずに来たのか、スパイ防止法のような治安法や治安機関が力を持つ社会がどこに行き着くかは歴史が教えるところです。元内務官僚で戦後は警察庁長官などを務め、政界へと転じた後藤田正晴氏(中曽根内閣の官房長官)は晩年、新聞社のインタビューで情報機関の必要性を問われ、基本的には同意しつつも『うっかりすると、両刃(もろは)の剣になる』『いまの政府、政治でコントロールできるか』と(迷い)も吐露した。昔の保守政治家は、そういう見識を持ち合わせていた。それに比べていま、スパイ防止法や情報機関創設を無邪気に礼賛し(迷い)の気配すらない為政者が私には危うく見えて仕方ありません。こんな流れに自民、維新ばかりか国民民主などの野党まで同調している。ついに高市首相は『台湾有事』が『存立危機事態』になりうると国会で明言してしまった。米国にひたすら追随してきた日本の首相が、米国でさえあいまいにしてきた領域に堂々と踏み込んだのですから当然ですが、日中の関係は深刻化しています。政治の劣化、とくに『保守』を名乗る政治家の劣化はここまできたのかと痛感します。『歴史探偵』を自称した作家の半藤一利さんの言葉で印象に残っているのが、社会が戦争に向かう『六つの兆候』です。①被害者意識と反発が国民にあおられる②言論が不自由になる③教育が国粋主義に変わる④監視体制が強化される⑤テロの実行が始まる⑥ナショナリズムが強調されるー。半藤さんがそう指摘したのはもう10年近く前、私などの雑誌鼎談(ていだん)で、当時もヘイト言説は問題化していましたが、①と⑥はまさに現在の異様な排外主義が該当します。②の言論の危険や④の監視体制の強化は、すでに特定秘密保護法や共謀罪、経済安保秘密保護法などが次々と成立し、さらにスパイ防止法なども積み上げられようとしている。『赤旗』日曜版が、維新・藤田文武共同代表の公金還流疑惑を報じました。日曜版のインタビューだから言うわけではありませんが、実に立派な報道ですよ。こうしたファクト(事実)を掘り起こす調査報道は、『赤旗』や『週刊文春』だけでなく、本来は一般紙がもっと果敢に取り組むべきです。なのに藤田共同代表は、疑惑にまともに答えることなく、ネットに記者の名刺をさらした。しかも藤田氏は『赤旗は報道機関ではない』などといいますが、先に指摘したようにこれは見事な調査報道です。問題は連立政権の一翼を担う公党幹部の公金の使途についてのファクト=事実なのであって、イデオロギー=政治思想の問題ではない。藤田氏の言い分はあきらかに論理のすり替えです。記者の名刺をネットに公開するのは、自分の支持者らに攻撃をよびかけるような行為です。権力者が自分への批判をかわすために記者をどう喝したり、圧力を加えたりする昨今の風潮の延長線上にあるように思えます。逆に言えば、時の政権からこういう攻撃を受けるのは、メディアとして真っ当仕事をした証左でもあります。だからメディアの仕事に関わる者たちは、もちろん私も含め、こうした仲間を孤立させず、不当な攻撃には社の垣根などを超えてあらがい、同様の仕事を地道に続けていくことが大事だと思います。大川原化工機事件をでっち上げた公安警察、公益通報者を逮捕した鹿児島県警・・・。公権力の横暴もあちこちで発生しています。加えて極右政治の台頭、メディアの自由への脅威に強い危機感を感じます。しかし、そんな中でも元法相夫妻の公選法事件を徹底追及した中国新聞、鹿児島県警を追及した西日本新聞や『赤旗』のようなメディアが『闇の奥』を照らすような仕事をしている。そこにかすかな希望を感じます。」
投票日の昼休み、宇部市内の書店で青木理著「闇の奥」を購入して、ここ数日読み進めています。
青木理さんの著作では、「安倍三代」をとても興味深く読みました。
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会が昨年主催したジャーナリストフェスに青木理さんが参加しました。その際に、「安倍三代」にサインを頂きました。
青木さんは、この本の序章で、雑誌「噂の眞相」(通称:ウワシン)の発行人兼編集長だった岡留安則さんの言葉を引用しています。
青木さんは当時、共同通信の記者でした。青木さんに岡留さんがこう話します。
「青木クンのような大手メディアの記者が書きべきことを書かないから『ウワシン』は成立しているんだ。もしキミたちが書きべきことを全部きちんと書けば『ウワシン』なんでお役御免、たちまち消えてなくいなるさ。むしろその方が嬉しかったりするんだけどね、オレは」
青木さんは、メディア環境の激変とSNS等の隆盛という現在のメディアの状況を指摘しつつ、「隆盛を極める現状のSNS等は旧来メディアのかろうじて良識だった部分を極小化し、悪質だった部分を極大化した、所詮はこの国で以前から続くメディア状況の写し鏡にすぎないのではないか」と述べています。
その上で、岡留さんの台詞が現代にも生きると次のように書いています。
「陰謀論や排外主義が蔓延ってしまっているのも、キミたち大手メディアの連中が書くべきことを書かず、愚劣な陰謀論者や排外主義者を増長させてきたからじゃないのか。もう『ウワシン』のような媒体はないんだから、キミだちが歯を食いしばって書くしかないじゃないか」
青木さんは、序章をこう結んでいます。
「歯を食いしばって書くことを書き、伝えるべきことを伝え、荒廃の度を強める権力や権威が固守する闇の、さらにその奥へと多少なりとも光を照射してい」く時だ。
総選挙の結果を受けて、排外主義などが蔓延し易い状況が広がるのではなないかと心配しています。
このような時だからこそ、私は、歯を食いしばって、伝えるべきを伝え、権力や権威が固守する闇の、さらにその奥へと多少なりとも光を照射していけるように、県政を調査し、必要な発言を行っていきたいと思います。
総選挙の結果を受けて、青木理さんの新著「闇の奥」に大いに励まされています。
青木理さんは同世代のジャーナリストの中で、敬愛するお一人です。
青木さん、また、長生炭鉱の現場でお会いしましょう。
今度は、「闇の奥」にサインをお願いいたします。
青木理さんのファンの皆さん、青木さんの著作の感想をお聞かせください。
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